雲深不知処の山門には藍家の師弟が二人立っていた。
江澄が白梅を連れていくと、その二人は慌てふためきつつも、家規に順じて藍家宗主を呼びに行き、客坊へと通してくれた。
その頃になると白梅は体に力が入らなくなっており、しかたなく江澄は彼女を臥床に寝かせた。
すぐに藍曦臣と藍忘機、魏無羨までもがそろってやってきた。
「雲深不知処をお騒がせして申し訳ない」
「江宗主、お気になさらないでください」
藍曦臣は首を振りつつも、しょうとうに視線を移す。
「ところで、そちらの女人は」
「雲夢の民だ。魏無羨、力を貸してくれ」
江澄はあらましだけを語った。
白梅が妹を亡くしたこと。妹の報復を行おうと呪術に手を出したこと。彼女の命がかかっていること。
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