midnight cocoon 完全版☆現パロ時空
☆ややホラー、モブ弓描写あり
☆深夜の街を歩く弓が槍に出会うお話
(寄稿分から読む場合は、@まで飛んでくださいませ…!)
私はエミヤ。散歩が趣味の会社員だ。
『散歩が趣味』というのは、半分本当で半分皮肉である。
手短に説明すると、弊社はブラックだった。そのため連日残業続き、深夜の徒歩帰宅が私の日課となっていた。
徒歩出勤に憧れて近場に住んだばかりに、とんだ災難である。
今、世間は地獄のような真夏らしい。クーラーの効きすぎたオフィスで汗腺が瀕死の身体も、こうして歩けばじわりと汗をかきはじめる。生きているだけで消耗する季節の隙間のような時間、早朝と深夜だけが私の知り得る今夏だった。
にゃあ、と。どこからともなく聞こえた鳴き声に顔を上げると、石造りの塀に黒猫が座っていた。
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