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    15azi

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    🐜と👂のはなし

    前あげた手合わせより前の話

    支部にあげるのにタグに困るやつ小笠原貞宗に館へ呼ばれた。
    新年早々寒い中、俺を待っていたのは小笠原貞宗とその腰巾着、市河助房であった。賊の俺に何用かと思えば、諏訪領への侵略の命だった。
    俺は賊として素直に従うつもりもない。
    しかし小笠原貞宗はそれも見越して俺を受け入れるらしい。少しは媚びへつらい賊の俺に怯える姿が見たかったのだが、その堂々とした態度が気に食わなかった。
    そんな奴からはさて何を奪ってやろうか。奪うことは生き甲斐で、何をどうやって奪うか考えるのは楽しい。
    考えていると先ほどいた部屋から出てくる誰か近づいて来る足音が聞こえてくる。
    「おや、市河殿」
    「瘴奸…」
    話しかけると、立ち止まり顔も上げずに目だけ俺に向ける。
    同じく俺の心のうちを察して、小笠原貞宗とは異なり俺に忌避感をあらわにしていた男だ。俺は諏訪領で陣取りではなく略奪をするつもりなのだから、この男の直感は正しい。
    だからこそコイツと小笠原貞宗には仲違いをしてほしい。我が征蟻党の政略としてもあるが、単にボンボン同士の契りが気に食わないという気まぐれもある。
    そうだ。まずは小笠原貞宗からコイツを奪ってやるか。
    「偏に、」
    俺が話し始めると眉間に皺がよる。単純でわかりやすい奴だ。
    「偏に、市河殿は知っていますか?高く売れる童の特徴を」
    「あ?」
    「買ったことがあるかなと思いまして。」
    微笑みながら見下ろすと、たぶん意図がわからず俺をじっと見ていた。

    もちろん、この男は買ったことなどないだろう。

    先程の様子からしても男は武士の中でもだいぶ潔癖だ。賊を懐に入れる小笠原貞宗ほどの器もなければ、度胸もない。
    目的のために少々の汚れすら受け入れることはしない。こんな話題を振られること自体、世間話ではなく侮辱に感じるだろう。
    呆れられて去られると困る。
    早くに目的を済まそう。
    「昔見た諏訪の稚児踊りで遠く離れた場所の獲物までわかる神力を持つと噂の稚児がいまして。その稚児がそれは、それはまた…大きな耳で口が真ん中で割れていたんですが、そういう曰く付きの童をあえて好む奴もいるんですよ。稚児踊りが踊れることも更に価値が上がる。忌み子を嬲って犯したいとね」
    値踏みするように舌で乾いた唇を撫でながら男を見る。
    年齢からすれば、年上の俺が男の幼少期を見たと言っても不思議はないし、不自然に思われない程度の情報を揃えるために経歴は探ってある。

    男は幼い頃、諏訪の神事に積極的に関わっていた。

    先程、小笠原貞宗の前では閉じていた目が少し驚いたように見開いている。少し探っただけで過去の栄光も恥辱も出てくるから良いとこの長男の挑発は楽だ。
    俺に向かって2、3歩歩いてくる。
    怒りで向かってきてくれれば良し。刀を抜いてくれれば傷ができわかりやすいからなお良し。それを小笠原貞宗に見せてコイツらの仲を引っ掻き回してやろう。
    「貴様もそうなのか?だったら私の相手をしてくれ。剣技の手合わせは?酒は?みな気味悪がって、ずっと1人で遊んでいたから私は虚しくて寂しくてな。」
    市河は優しい口調で答える。
    拳を待ち受けていた俺の分厚い唇を、爪を切り揃えられた指がなぞる。舐めたばかりの唇は男の指に甘えるようにひたと吸い付き、予想外の反応に俺は戸惑った。
    「寝屋はどうだ?まだ神事の振りも踊れるぞ。耳が大きく口の割れた醜い獣を嬲って犯したいのだろ?」
    目を細め、微笑んでいる。
    怒りじゃない。何だこの表情は。

    こつん

    眉間を小突かれ、我へ帰った。
    「阿呆。嘘だ。俺相手に揺さぶりをかけるなら他の事でやれ」
    くるっと俺に背を向けながら吐き捨てるように言われる。小突かれた場所を手でさすりながら呆然と見ていると、全くどいつもこいつも何が神力だ!と不満気に足音を立てて去っていく。
    怒るのはそこなのか。
    「一緒に寝てくれないのですかー!」
    はっと我にかえり、俺は最後っ屁とばかりに茶化す。
    「そんなことするわけないだろう!貴様といると何かが這う音が五月蝿くて堪らん!」
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