突発如月誕生祝い小噺「兄さん!誕生日おめでとう!!いい朝よ!!」
「……なに、ごと、」
朝6時のよく晴れた霊2月24日、部屋に押し入り問答無用で雨戸を開け涼華に叩き起され目をこすりながら上体を起こす。
確か今日は何も無かったはずだからもう少し寝たかった……とぽやぽやした頭で考えながら胡座をかいて伸びをし挨拶代わりに角を合わせて目を覚ます。
「如月〜涼華〜、起きたら顔洗ってらっしゃいね」
「はーい」
「はい。……涼華、痛い。下りて」
「んーもう少し」
いつもながら中々離れない妹を頑張って引き剥がし洗面所へ向かい、顔を洗って鏡を見つめる。
年々育つ自身の角を眺めては触りまだまだ幼いと再認識して肩を落とす。
"いつか父のように立派な隊士に"そう心に決めて日々鍛錬を続けているが体の成長はすぐ表れるものではなく"早く大人になりたい"と子供ながらにもどかしさを胸に秘めていた。
「ただいま戻った」
「お帰りなさいませ、今日は早かったのね」
泊まり明けの父の声が聞こえてくる。
使った手拭いを置く間もなく玄関の方へ駆け出し姿を見つけると足元へ正座し三つ指をつく。
「お帰りなさい、父上」
「あぁ、ただいま如月。出迎えは嬉しいが手拭いは置いて来れるとなお良いな」
「う、はい……」
「お父さまお帰りなさい!これから朝ご飯なんです、皆で食べましょう!」
「ただいま、涼華も朝から元気で宜しい。そうか、丁度良かった」
手拭いを一人洗面所へ戻しに行こうと踵を返したところで「如月、」と父から声が掛かり、何事かと問おうとしてくるりと振り返った。
「誕生日おめでとう、今年も良き一年に成るように」
「!……はい、ありがとうございます……!!」