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    ねずちゅー

    @nezutyuuusan

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    ねずちゅー

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    自転♂♀双子とオミセバ(アンもいます)

    転入生の双子 今日、新たに日本の薩摩から転入生が来る。
     
     そしてなぜか今日が近づくにつれシャルドネ(転入生)が忙しかった。
     それに時折ぽけーっと何もない空間を見つめている時が増えた。
     正直彼らしくない。
     いや……ワザと話しかけられようと見せびらかしている気もするが……。
     
     今日なにかと浮き足立っている転入生にオミニスが声をかけた。
     
    「おいシャルドネ、何ソワソワしているんだ?」
     
    「うん?ソワソワ?しているのか?私が?」
     
     何か思い当たることがあるのか、少しちょっと嬉しそうに微笑んでいる。

    (嬉しいのは……本当のようだな……)
     
     基本、彼は自分の本当の感情を他人に見せることはほとんどない。
     僕らにだけは見せていると……思うが、あまりよく分からない。
     だが、最近転入生とつるんでると何となく分かったような気がする。
     本心が垣間見えそうな時ほど、彼は俺らを揶揄い話を逸らす癖があるからな。

    「実は……双子のシャルロットがホグワーツに来るんだ……」

    「双子?!君、双子だったのか?!」

    「双子って、僕と一緒じゃないか!」

    「っふははは」
     
     なんでそこに注目するんだとゲラゲラと腹を抱えて笑うシャルドネ。

     オミニスが静かに1人で何か呟いている。

    「……俺の友達2人が揃って双子って……百味ビーンズでゲロ味を1発で引き当てるよりも凄いぞ……」

     何故かオミニスはそこに驚きを隠せないようだ。

    「……貴方ら2人に言っとくが……可愛いからって私の双子に手は出すなよ……特にセバスチャン!!」

     シャルドネはズビッと僕に指を向ける。
     
    「何故そこで僕なんだ?!」

     失礼なやつめ。
     
    「フフっ」
     
     オミニスが口元を片手で隠して上品に笑う。
     そのことにますます不満を覚える。
     
    「オミニス何故笑う?」

    「いや、何。君ならターゲッティングしたらグイグイ行きそうだと思ってな。それに何かとおモテになるようだし」

     オミニスが揶揄ってくる。
     
    「はぁ?何言っているんだ。僕じゃなくシャルドネのほうがだろ。コイツ、最近僕ら以外のやつと夜中にデートしているっぽいしな」

     僕はニヤニヤしながらシャルドネのほうを見る。
     
     最近密猟者の朝帰りにしては、いつものダサい格好ではなくマトモな格好で帰ってくることが多いからな。
     秘密……とかこの前ほざいていたが、どうせ女性に会いに行っているに決まってる。
     
    「なんだよ、まだ気にしているのか?ったく、どんだけセバスチャンは私のことが大好きなんだか……モテる男は辛いぜ」

     シャルドネはやれやれと言わんばかりの態度で両手をヒラヒラさせる。

    (……腹が立つ)


     
     そんなこんなで僕らはお互い揶揄いながら食堂に集合した。

     ブラック校長が皆に響き渡るよう大きい声を張り上げる。
     
    「諸君!本日から、新たな転入生が仲間入りである!仲良くするように。……ではウィーズリー先生、組み分けを頼んだ」

    「はい。ではシャルロット来なさいな。こっちに座って」

    「……」

     そうしてウィーズリー先生に呼ばれ一歩前に出てきた人物はシャルドネと瓜ふたつだった。

     白く美しいショートヘアな髪とトパーズを目に埋め込んだかのような輝く瞳。
     僕は釘づけになった。
     シャルドネの双子なのだから相当な美人だとは知っていても、綺麗な人を見ると誰だって見惚れ固まるだろう。
     だが、美人だからこそ無表情のせいで人形のようで冷たい印象を与える。
     それは、シャルドネが僕らだけにしか見せない表情だ。
     
    (あいつは僕ら以外だと笑顔の仮面を付けているからな……)
     
     唯一双子であるシャルドネと比較して違うとしたら、その小柄な体格だろう。
     転入生が着ている制服は男物を着ているので、性別は男……なんだろう。
     男にしては少し……背が低いとは思うが。

     新転入生は静かに椅子に座り、頭に組み分け帽を被せられる。
     食堂にいる者が静かに彼の寮の組み分けを見守る。

    「……ふむふむ……双子の弟同様、お主もこれまた難儀じゃなぁ……さぁて、どれにしようか。……仲間のためならば、身の危険があろうとも立ち向かう勇気や勇敢さ。それに優しい。……じゃが、心の奥底で双子の幸せのためならば手段を問わない貪欲さが一際輝いておるの……」

    「……」
     
     新転入生は静かに聞いている。

    「……ちなみにお主、どこがいいのじゃ?」

     そう聞かれた新転入生は、こちらを見てきた。
     いや、目線的に僕の隣にいる双子のシャルドネのほうを見ているのだろう。

     新転入生はシャルドネとしばらく見つめ合い、そして微笑んだ。
     一瞬ドキッとした。
     
    「ふわぁ……」
     
     誰かの声が漏れた。
     もしかして自分の口からかもしれない。
     
    「すごくすごく綺麗な人」
    「ここまで見惚れるっていうのは初めての経験だ」

     それらの声もスリザリン寮生からあちこち聞こえてくる。
     シャルドネで耐性がついているだろう同僚生でも、彼の心からの微笑みにクラッときたのだろう。
     それもそうだ。
     シャルドネはあんな微笑み方はしないからな。
     白い蕾の花が一気に満開に咲くような微笑みは。
     皆んなの気持ちは分かる。

    「……そうかそうか。一緒がいいのか。……では……スリザリン!!!」

     その一声を聞いた彼は満足気に軽やかな足取りでこちらに向かって来た。
     咄嗟に僕はシャルドネとの間に隙間を開け席を譲る。
     やって来た彼はその俺の行動に気付き、俺の目を見ながら感謝の意をこめてニコリと微笑んでくれた。
     それがまたとってもすっごく綺麗だった。

    「……」
     
     その後すぐ彼は先程と同じ無表情に戻り、周りにいるスリザリン寮生にペコリと一礼する。
     そしてシャルドネの隣にチョコンと座る。
     
     そう……俺の隣でもある。
     
     座った時、シャルドネとは違ったいい香りをフワッと感じた。
     シャルドネが仄暗くドライな気配を孕んだ、あらがう事のできない官能的な香りだとしたら、シャルロットは揺らめくように乱れ咲きとろけるように甘い林檎の果実のような香りだった。
     
     まぁ……2人から危険な香りを放っていることは間違いない。

    (彼らは男……彼らは男……)

     僕は煩悩が去るよう心の中で復唱する。
     
    「シャルロット!会いたかったよ!!」

     シャルドネが再開した双子にハグをする。
     美人が2人並んだことにより、ここは一斉に注目の的だ。

    「……私も」

     初めて聞いた彼の声は、男にしては高く綺麗な優しい声で……これまた男か女か分かりにくい中性な声だった。

     パンパンっ!
     ブラック校長が注目させるために両手で2回拍手する。
     
    「では組み分けも無事終わったことだ、諸君!やるべきことを思い出しさっさと戻るように!いいな!」


     ブラック校長のその言い方に若干の苛立ちを隠せないまま、ゾロゾロと皆が戻るため食堂から退出する。


     寮に向かって歩く双子を先頭に、僕とオミニスが後ろを歩く。
     目の前で歩くシャルロットを見つめ、ふと脳裏によぎる。
     
    (……もしかしたら、彼は僕らと同じ部屋なのだろうか?)

     彼のことを周りに見せつけるように、これでもかと密着しながら歩くシャルドネが、果たして他の寮生と同室を認めるのだろうか?

    (いや……無理だな)

     これだけ周りに威嚇しているからな。
     それに彼のことだ、もうすでに監督生にはお願いしてあるのだろうな。
     ……心配なのが、オミニスが僕ら以外の人が来たことにより若干嫌がりそうだが……まぁシャルドネの双子ということですぐ仲良くなるだろうし大丈夫か。

     僕らの未来の学生生活を予想しているとフッと笑みが溢れる。
     
    「……どうして笑っているんだセバスチャン」
     
    「いや、目の前の双子を見てたら面白くてね」
     
    「彼らの笑い声からして、双子の仲は良さそうだな」
     
    「あれだけ僕のことをシスコンだの煩かったクセに。シャルドネだってブラコンだったじゃないか」
     
    「いや……残念ながら君はシスコンだ」

    「おい、なんでだよ」
     
    「君はアンの話をよく喋るからな」
     
    「妹の話をするぐらい普通だろ。僕はあんなに人前でベッタリとくっつかないぞ」


     
     双子の後ろでオミニスとヒソヒソと会話をしているうちに、スリザリン寮の長い螺旋階段を降りて談話室に到着した。

    「よし、2人とも紹介するね。双子のシャルロットだ。そしてシャルロット、こちら友達のセバスチャンとオミニスだ」

     シャルロットがペコリと綺麗なお辞儀をする。
     お辞儀の仕方が騎士のような感じがするが……気にしないことにする。

    「よろしくシャルロット。僕はセバスチャン・サロウだ。僕にも双子のアンがいるんだ。後で紹介するよ」
     
    「やぁ、よろしく。俺はオミニス・ゴーントだ。ゴーントっていうのは気にしなくて構わない。俺もそのほうが気が楽だからな」

     シャルロットはウンウンと無言で必死に頷いている。
     無表情でその見た目とのギャップが凄く、僕は微笑ましく感じる。
     
     ……少し可愛いと思うのは許してくれ。
     だから彼の隣で僕に睨みつけるのはよせシャルドネ。

     僕はシャルドネのことは視界から外してシャルロットに話しかける。
     
    「それにしても、シャルドネも早く言ってほしいぜ。彼が双子だったなんて今朝知ったばかりなんだぜ。なぁ?酷いよな?」

     シャルロットは無言で目を見開いて驚き、不思議そうな顔をしながらシャルドネのほうに顔を向ける。

    「秘密が多いってミステリアスで魅力的だろ?」

     ……またそんなことを言う。
     
    「あっ、そうそう!」

     シャルドネが急に思い出したかのように言う。
     
    「シャルロットって良い名だろ?実は私が名付けたんだ。魔法サーカスのとき、名無しだと何かと不便だからさ。お互いに名付けあったんだ」

    「「え?!」」

     僕とオミニスは同時に驚く。
     これまたビックリだ。

    「まずシャルロットから私に白ワインから[シャルドネ]という名をくれたんだ。よくサーカスの閲覧者が飲んでたからな。そして、私は同じようにテーブルの上にあった洋菓子ケーキから[シャルロット]という名をあげたんだ」

     どうだ?我ながらセンスいいだろ?
     とでも言いたげな表情で片手を顎に添えて決めポーズをしていた。

     デリケートな部分だから、僕らはサーカスについてはあまり触れないよう気をつかっているというのに……。
     彼は至って気にしていないのか、こうやって公共の場でペラペラと自分から話す。
     まぁ、別に名前の話だし……な。

     
    「おい!」

     突然の声に一同が発言者のほうを見る。
     その者は我が寮の監督生だった。

    「君だよ君。スリザリンへようこそ。お友達はもうできたみたいだな。あとは、君の部屋のことだが……」

     僕は静かにゴクリと生唾を飲み込む。
     だが、監督生はすぐに言わず目で誰かを探しているようだった。

    「あぁ、いたいた。アン・サロウ!ここだ。こっちに来たまえ」

    (え?アン?)

    「はい、お呼びしましたか?」

    「これからこの子の世話を同室の君に頼む。私は男だから女子寮には入れないんだ」

    「話は先生から聞いてます。じゃあ、シャルロットさんだっけ?こっちに行きましょ。部屋を案内するわ」

    「っちょっと待――」
     
    「おいセバスチャン、まだ話しかけ足りないのか?もう紹介したんだ。貴方らに礼儀は尽くした。解散だ解散」

     そう言うシャルドネはオミニスを連れて僕らの部屋に向かう。
     驚きすぎて思考が回らない。

    「……おいシャルドネ――」
     
    「あっそうだ!私の姉に声をかけるときは私の許可が必要だからな。悪い虫は極力排除しなくちゃ」
     
     ね!っとシャルドネは言いながらウインクをする。

    (すぐさま、そうやって牽制する……)

     それだけ彼女が大切なのだろう……
     行き過ぎているとは思うが。
     
     しかし……女性だったのか……
     だから小柄だったのか……
     双子らは中性的な顔つきのため、性別が分かりにくく非常にややこしいい。

     でもシャルドネが牽制する気持ちは分かる……
     数分間一緒にいた僕がこれだけドキドキしているからな。
     シャルドネと違って無表情ではあるが、時折見せるあの笑顔を見た者はイチコロだ。
     それに、案外弟より話しかけやすそうだった。
     
     
     これは……僕も気を付けないといけない。
     勘のいい弟に気付かれたら、僕も一緒にとことんまで掃除されそうだ。
     
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