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    ねずちゅー

    @nezutyuuusan

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    ねずちゅー

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    ちきんさんとこの転ちゃんと自転双子が絡んでおります。冒険ファンタジーです。
    自転♀視点

    (中)ちきんさんの転ちゃんと自転双子の冒険ファンタジー「おやおや。パーティにしては、少し物騒じゃないですか皆様?」

     シャルドネはゾロゾロと私達を囲む敵に向かって挑発する。

    「災難だったな坊ちゃんに嬢ちゃん。ちと俺らとゲームでもしないか?」

     男らはニタニタと笑いながら私たちに言ってきた。
     だがシャルドネの口はまだ閉じない。
     
    「そりゃ困ったなぁ。私たちは仲良くピクニックしている最中でね」

     シャルドネは男に話しながら、私とアイコンタクトで倒せと伝えてきた。
     私はゆっくり刀を構える。
     だが、さぁ行動に移そうかというときに邪魔が入った。

    「くっ、そこのお前黙れ!コイツがどうなってもいいのか?」

     男がそう言いながら連れてきたのは女性の村人だった。

    「あ!貴方はあの時の!」

     セレスティアさんの反応からして、あの女性は依頼者なんだろう。

    「っご、ごめんなさい!」

     女性はセレスティアを見ながら、何度もごめんなさいと謝っている。
     なるほど……そういうことね。

    「黙れ!」

    「っっっひ!」

     女性は恐怖で体が竦み、震えて固まってしまった。

    「君達には今からあの洞窟に入ってもらう。洞窟内の奥にある宝を持ってこい。宝を俺たちに持ってきてくれたら、無事コイツを解放してやろう」

     男は女性の喉に杖を向けながらそう言った。

    「分かったわ!持ってくればいいのよね?」
     
     セレスティアはクルッと敵に背を向けて、1人で先に洞窟に入ろうとしていた。
     私たちは慌てて彼女の後を追った。


    ―――― 


    「……ごめんなさい、セバスチャンの言う通りだったわ」

     セレスティアは少し疲れたような声で話す。

    「君だけで行くことがなくてよかったよ」

     セバスチャンはポツリと言葉を溢した。
     セレスティアはクルッと後ろを向く。

    「2人ともごめんなさいね、巻き込んでしまって」
     
    「あ……実はなお嬢さん、貴方とセバスチャンが口論している時に気付いたんだが……貴方は尾行されていたんだよ既に。だから私ら双子は知ってて貴方に付いてきたってわけ。謝らなくていい。むしろ、謝るのは黙っていた私達のほうだ」

     すまないな
     シャルドネが謝るタイミングで私も頭を下げる。

    「ええ?!頭をあげて2人とも!」

     ね!いいから!
     セレスティアはアタフタと私らに頭を上げるよう催促した。

    「しかし、何で君たち黙っていたんだ?」

     セバスチャンは不思議そうに話しかけてきた。

    「アイツらがノコノコとやって来たらさ、返り討ちにしてやろうと思ってたんだよ」

     な、シャルロット?
     シャルドネがそう言うので、私はウンウンと頷いた。

    「まぁ、結果作戦は失敗。練り直すしかないな……あっ、これ一応情報共有だけど、あの女性も怪しいと私は思う」

    「「え!まさか!」」
     
     セバスチャンとセレスティアは同時に反応した。

    「本当か?僕にはあれが演技には見えなかったがな」

    「私もそう思うわ」

    「君達仲良しだな。あくまで可能性の話だ。疑うぐらい構わないだろう?」

     
    ――――

     
     そうこう話しているうちに、私達は大きな石扉の前で立ち止まった。
     
     私達は協力して重い扉を両手で押し開けた。
     ギィーっと重い音をあたりに響かせる。
     
    「うわー、真っ暗じゃないか」

     シャルドネはそう呟いた。
     セバスチャンが徐に杖を取り出し唱えた。
     
    [ルーモス]

     しかし、予想とは反して一向に周りが明るくならなかった。
     セバスチャンの声がただ、暗闇の中をこだまするだけ。
     ルーモスを封じるこめる魔法がここにはかかっているのだろう。
     
    「ルーモスが効かない?!ルーモスを封じるって、ここは一体何がしたいんだ?」

    「さぁな。何?セバスチャン、もしかしてビビってるのか?」

     シャルドネがいつものように彼を揶揄う。

    「行ってみれば分かるわ」

     セレスティアが一番乗りで暗闇に行こうとする。
     私はすかさず彼女の袖を掴んだ。

    「?シャルロットさん、どうかしたの?」

    「…………」

     口下手な私のため、シャルドネがズイッと前に出て私のフォローをしてくれる。
     
    「ルティはな、皆んなで手を繋いで一緒に行こうと言いたいんだよ。だが……横に広がって行くのは危ないから縦に並ぼうか……ほらセバスチャン、お嬢さんの後ろに行け」

     こうして、セレスティアさん、セバスチャン、私、シャルドネの順番で縦に1列に並んだ。

    「……おい、この順番身長差が激しすぎるんじゃないのか?」

     セバスチャンがシャルドネに聞く。

    「シャルロットの背中を護るのは私だって決まっててね。ごめんね」

    「君のことだ、そんなことだろうとは思った」

    「あ!お嬢さんにこの機に及んで無闇やたらと触れるなよ、スケベサロウ」

    「そんなことする筈がないだろう!」

    「っさ、さぁ行くわよ!」

     セレスティアが少し恥ずかしそうにしながら、片手に軽石を数個拾って手に持ち私達を誘導する。

     予想通り、中に入ってもずっと暗闇だった。

     
    「ははっ、まったく見えないな」

     暇になったからか、あるいは皆んなを元気付けるためか、シャルドネがセレスティアに声をかける。
     
    「あ、お嬢さんには言ってなかったが、実は私たち双子は竜のマレディグタスでね。人よりは視覚も聴覚が優れているんだ。だが……それを持ってしても、ここは何も見えない……役に立たなくてすまないね」

     セレスティアが軽石を投げている手が一瞬止まった。
     賢い彼女は目の前の道が安全かどうか、壁があるかを知るために投げてくれていたのだ。
     
    「え?竜?マレディグタスって……大丈夫なの?その……」

    「あぁ、貴方の言いたいことは分かるよ。いずれは血の呪いによって、永遠に竜の姿になるからだろ?まぁ、今後そうなる運命なんだが、私らは奇跡的に血の呪いが止まっててね」
     
    「それは嬉しいことね。でもどうして?」

    「私らは双子の奇跡と呼んでいるよ。素敵だろ?」

     そう……私たちには分かる。
     お互いが繋がっていることを。
     お互いがお互いの呪いを止めあっている。
     [双子のツガイ]のように……。
     だから動物もどきのようにいつでも竜に変身できる。

    「そうね……とてもロマンチックね」

     その代わり私ら双子のうち、どちらかが欠けると片方が血の呪いによって竜に変わってしまうのが厄介。
     だから、私は強くならなくちゃいけない。
     弟を守るために。

     
     私が再度決意に身を固めている間、目の前がゆっくりと明るくなっていてた。
     やっとこの長い通路から解放される。

    「おい、皆んなあの光が見えるか?」

     セバスチャンが眩しそうに片手で光を遮りながらそう声をかける。

    「青白く光ってる……お花?」

     セレスティアも片手で遮りながら目を細めて見ている。
     
    「うっ!」

     シャルドネも後ろで唸っていた。


     光る花の元まで行くと、洞窟内がどうなっているのかがようやく見えるようになった。
     
     ここは……洞窟じゃなくて遺跡……というより地下墓地なのかな?

    「光る不思議な花が一輪……何なんだここは」

     セバスチャンが辺りを観察しながらそう呟いた。
     一方、セレスティアはソッと花に触れるか触れないかという距離まで近づく。
     
    「…………」

    「どうしたんだ?」

     セバスチャンがセレスティアに聞く。
     
    「……もしかして……私この花、本で読んだことがあるわ。たぶん彼らが言っていた宝はこれのことよ」

    「え?僕は読んだことないな……」

    「ふふっ、それはそうね。フィグ先生の部屋でね、先生がお留守の間にチラッと読んだことがあるの。ほら、私ってば本を読む速度が早いじゃない?」

    「それは僕も是非読んでみたいな。で?その本にはこの花について、なんて書かれていたんだ?」

    「えっと、確かこの花は……日の光に当たるまではただの発光する花なの。ただ日の光が当たると、その花の中に隠された宝が出てくる……と書かれていたわ」

    「引きちぎってみるか?」

     シャルドネがセレスティアに聞く。

    「待って!この花、咲いている場所によっては扱いが異なるの。ここは地下墓地……死者の灯す火!セバスチャン、あそこ!あそこに火を灯して!」
     
    「分かった![コンフリンゴ]!!」

     セレスティアが指で示した場所には祭壇が備わっていた。
     セバスチャンは器のようなものめがけて慣れたように魔法を放つ。

    「おぉ、一気に部屋が明るくなったな」

     シャルドネはセレスティアの後ろで、マジマジと彼女と花を交互に見比べている。
     彼女を見守るように。

    「もし火を灯さず花に触れていたら……ギミックが稼働して私たち壁に押しつぶされてペチャンコだったはずよ……。でも、これからがもっと大変なの」

    「ペチャンコ?それはやだなぁ」

     シャルドネがそう呟いた。
     
    セレスティアは花に触れようとしたが、触れる寸前で手が止まった。
     
    「どうした」

     セバスチャンが彼女に聞く。
     彼女は一呼吸してから、徐に花を毟り取った。

    「これからは……ランダムよ」
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