豆板醤と甜麺醤。「そういやお前がたまに食べてる店ってどこにあるんだ?」
ある日の昼下がり、エフレンから振られた話題にヨルンは首を傾げることになった。
話が結びつかない様子を見かねてか「アカウントに写真あげてるだろ」とエフレンが話を促すと、ヨルンはようやっと彼が勘違いをしていると理解する。
「あれ自前だぞ」
「そうなのか!?」
時折生存報告に上げている写真を店売りのものと見間違えてしまった、ということだったらしい。
……エフレンが驚いたのはそれだけではなかったようだが。
「お前って自炊するんだな」
「自炊というほどじゃない、気が向いた時だけだ」
特段食事に興味があるわけでもなく、調理が楽しいというわけでもない。ただ外に出向くのが面倒だったり、配達を頼むにせよ好みのものがなかったりした時に仕方なく作る程度のものだった。
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