チェンジリング「おっじゃましまーす」
ポップはいつものようにマトリフの洞窟へと訪れた。晴れた午後の穏やかな頃、波も穏やかで緩い風が吹いていた。
「その声はポップくん!」
洞窟の中から聞こえてきた声にポップはびっくりして立ち止まる。ポップくんと呼んでいつも出迎えてくれるのはガンガディアだが、今聞こえてきた声はガンガディアではなくマトリフの声だった。
するとこちらへと走ってくる足音が聞こえる。その足音もデストロールの足音にしては小さ過ぎた。案の定、顔を見せたのはマトリフだ。マトリフが走るなんて珍しい。
「やはりポップくんだ。ちょうどいい時に来てくれた」
マトリフに嬉しそうに言われてポップは後退る。ポップくん、なんてマトリフに呼ばれたことなんて今までに一度もない。それにそんな笑顔もだ。何か得体の知れないものを見たようにポップは逃げようとした。
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