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    pirrrrri_

    夢/腐/ニュートラルごちやまぜ倉庫/見るときは自己責任でお願いします/自分の見たいものを作ってはちぎって投げてます

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    ニュートラル/ゾルタンが深夜の首都高をドライブする話/現パロ

    今日は変な時間に昼寝をしてしまったせいでゾルタンは、夜になって唐突に目が覚めてしまった。
    時計を見ると23:00頃。
    夜中どころか日付すら変わっていない。

    ゾルタンは起きてしまったのは気のせいだと脳に言い聞かせながら枕に顔を埋めてみる。


    「チッ……………眠れねェ!」


    クソ!とひとりギャンギャン文句を言いながらスウェットの上に黒のパーカーを羽織り、鍵とスマホを手にすると部屋のドアを開けて自身の車の元へと向かう。


    こうなったらヤケだ!眠くなるまで深夜の首都高を走ってやる。


    深夜のドライブ


    ゾルタンは自身が所有するグレーメタリックのスポーツカーに乗り込むとエンジンをかけた。
    晴れているようなのでルーフは収納させ、オープンのまま走り出すことにする。
    少し風が冷たい。ゾルタンにとってはいい深夜ドライブになりそうだと肌で感じた。


    「1時間くらい走れば眠くなンだろ」
    まずはここから一番近い芝浦ICへ向かい、都心環状線経由で一周走らせることにする。

    「その前にコンビニ寄んなきゃなぁ」
    夜間のPAは閉鎖して入れないことを思い出し、IC近くのコンビニ前に路駐すると小走りで買い出しをする。といっても買うのはコーヒーくらいなのだが…
    アイスコーヒー用のケースから氷入りのカップを一つ出し、そのままレジへ向かう。


    「オアズカリシマス」
    やる気のなさそうな店員がピッとコードを読み取り操作をする。
    『お支払い方法を お選び…』
    ピッピッと電子マネーを選びスマホをかざして喋ろうとするレジを黙らせると、店員に一応軽く会釈してカップを受け取る。

    コーヒーの機械に蓋を剥がしたカップを入れ、扉を閉じる。それだけで機械が勝手に認識し、コーヒーを適量入れてくれる。
    便利になったものだとコーヒーか入る様子を眺めつつ、外の車は大丈夫かチラチラ確認も忘れない。

    『ピピッ』
    出来上がったコーヒーを受け取りフタをつけると、小走りでまた車に戻る。警察が通らなかったことに安堵しながらエンジンをかける。

    『ETCカードが 挿入されていません』
    「あ、ヤベ」
    慌てて声の主に差し込む。
    カードリーダーが嬉しそうに『ETCカードが 挿入されました 有効期限は…』と喋り出したのを確認すると、いよいよ深夜の首都高に繰す準備は完了したのだった。


    ウィンカーを出して、首都高入口のなだらかな坂を登って、減速させながらそのままゲートをくぐる。
    「ピッ」という音でカードに問題ないことを確認、本線に合流する。


    「ゾルタン・アッカネン、ロードスター出るぞ!」


    声に出して独りテンションを上げれば早速目の前にはは浜崎橋JCTの分岐が現れた。
    左に行けば外回り、右に行くと内回り。
    同じ場所に戻るので特にどちらでも問題はないのだが、いつも迷うとつい左側の分岐を選びがちであり、今回も無意識に左レーンに入ってしまった。

    「あーあ、また左選んじゃったァ。まぁいいか」

    そのままハンドルを左に切り、カーブに沿って環状線に合流する。目の前には東京タワーと高速を隙間なく囲むビル群が現れた。


    「今日も元気に光り輝いてらぁ、ごくろーさん」

    ゾルタンは東京タワーに軽く挨拶すると、鼻歌を歌いながらカーブの多い道路をふんふんと駆け抜ける。
    やがて山手トンネルに差しかかり、白とグレーの世界に包まれる。序盤の電光掲示板には『ルーレット族 取締強化中』の文字が光っているのを見つけた。

    「警察も大変だなァ」

    完全に他人ごとと決め込むと、適当にオーディオを操作し音楽をかけ始める。テクノ系をかけとくと大体テンションが上がってくれるので間違いないだろうというのが彼の持論だ。

    トンネルを抜けるとやがてガラス張りのビル群が立ち現れる区間に入った。
    まるで自分が一番輝いているかと言わんばかりにどれもこれも今日も元気に光り輝いている。


    「この時間でもビルん中で働いてる奴らは立派な社畜だな」

    光の中で忙しなくまだ動いている人影を捉えながらゾルタンは「かわいそうに…」と口からこぼした。



    いつも汐留JCTに近づくにつれ、次第にバイクが増える気がするのはゾルタンだけではないだろう。

    「おーおー、みんな楽しそうにやってんなァ」

    なぜならこの坂を登っていくと、有名な「汐留S字」があるからだ。バイクたちが楽しそうにカーブに沿って走っている姿を眺めながらゾルタン自身もそれにならう。

    「まだこのまま戻るには早えか」

    その後の分岐で一周した環状線から抜けて台場線に入り、車線変更して次の分岐を右にハンドルを切ってもう少し走らせることにした。
    ここで間違えて左に行くと横羽線へ行ってしまい、元に戻るのに苦労するので看板とナビをきちんと確認して進む。

    「〜♪」

    音楽に合わせ人差し指でハンドルをトントンしながらレインボーブリッジを渡る。

    「やっぱここは夜景が綺麗だな」

    時刻は0時を回っていたおかけでブリッジは消灯しているが、その代わり白と赤の光で彩られた夜景がゾルタンの目前に広がる。
    まるでその夜景は彼を車ごと迎え入れて包み込んでくれそうにも見えた。

    そうして台場の夜景をするりと駆け抜けた先には、千葉方面と横浜方面の分岐が現れる。
    「ハマには行かねぇよ」と呟きながら左車線の千葉方面に切り、その後の車線を左にキープしつつ走り抜ける。



    そうして辰巳JCTの分岐をそのまま左に進み、タワマンのビル群の光を浴びながら進んだところで、首都高のスポットを一つ逃したことに気付いた。


    「チッ、辰巳ダッシュのこと忘れてたな…別にいいか」


    すぐに気持ちを切り替え深川線に入る。
    この路線は延々と真っ直ぐなのでスピードが出やすい。つまりパトカーに捕まりやすい区間ということになる。

    「フン、早速捕まってるナァ、かわいそうに」

    路肩でパトカーに捕まっている哀れな車とドライバーを横目に捉えニヤニヤしながら走らせるのもまた一興である。


    少しキツめのコーナーを抜け箱崎ロータリーを使い
    方向転換させると、さっき通った道をとんぼ返りして横浜方面に舵を切り、芝浦に戻る。


    「反対側から見る夜景もまた綺麗だな」


    夜景を堪能したあとは芝浦ICの出口で降りる。
    『料金は ◯◯円です』

    カードリーダーが元気に金額を宣言する声を聞いた途端、今までの興奮が抜けてかゾルタンのお腹の虫が鳴き始めた。

    「さっきのコンビニもう一度寄るかな…ふぁ…」

    深夜のドライブはゾルタンの眠気を呼び起こすのに十分効果があったようだ。
    何を買おうか。これから食べる夜食に心躍らせつつ最初に寄ったコンビニに車を留めた。

    おしまい



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