冬の日 ブルースの帰宅がいつもより早い時間だったので、雪の結晶が街を覆う姿を見たのは起床時になった。
午後のお茶の時間を回ってから(それでもいつもよりかなり早い)ダイニングと言うには広すぎる部屋に降りると、湯気の立つカップを持ったブルースが窓の外を眺めていた。
「おはよう。よく眠れたかい?」
と、自分と同じ黒いシャツにスラックス姿でリラックスしていたブルース。基本的に好みが似ている…と言うか同じなので、時々こうしてお揃いの服装になっている。それを見たドリーに「黒猫の兄弟みたいですわ」と言われたこともある程、もはや恒例になっていた。
「積もったのか?」
「うん。まだ降っているよ。白いゴッサムは珍しいね」
自分も窓に近づいて白い綿帽子を被った街並みを眺めると、カップに注がれたお茶の香りが鼻をくすぐった。
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