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    センリ°F

    メディア欄整理のためのプラス用格納庫。ぷらいべったー以外のサブのシリーズものを置いています。

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    センリ°F

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    現パロ🃏💋🐯宅の居候猫こと🌸

    -🃏相手プラスだけど逆ハー(なのか?)
    -🐯は🃏💋宅の同居人
    -🃏がある日🌸を拾ってきた
    -恋人というよりもほぼペット扱い
    -ゆるくシリーズ予定

    ##同居人シリーズ

    ケーキの話我が家では存外インドア派は少数派だ。ドフィはいつも仕事で各所に顔を出しているし、ローもたまに放浪癖と言う名のプチ家出を繰り返している。俺も仕事でバタバタしているが、本当ならローと色んなところを旅して回りたい。
    唯一、居候の猫ちゃんだけが、おうち時間を楽しむことに特化していた。…その割には炊事洗濯家事が得意ではないが。
    今日だって昼過ぎに兄の寝室から出てきた彼女は(もちろんドフィはとっくに出社している)、リビングの定位置にやってきてスマホを弄っているだけ。たまに寝返りを打つけど、動作は緩慢だ。非番の俺が珍しくゲームをしているのも気にせず、結局夕方ローが大学から帰ってくるまでずっとそうしていた。
    しかし、ピロン♪と鳴ったスマホ画面を見るやいなや、数時間ぶりに身体を起こしたかと思うと、キッチンでコーヒーを淹れるローに向かってパタパタ駆けて行った。思わず、俺も画面をポーズにする。
    「ローくんローくん」
    「なんだ」
    マグカップを二つ持つローに構わず、猫ちゃんはその腰にじゃれついた。ローのフードの裾を掴まえた顔を見るに、喉がゴロゴロ鳴るのが聞こえてきそうだ。相変わらず距離が近い。
    「テイクアウト、何がいい?」
    見せている画面は、某大手コーヒーチェーン店のメニュー欄らしい。ローは腰にまとわりつかれてもお構いなしに歩いてきて、リビングのローテーブルにマグカップを置いた。あ、これ俺の分のコーヒーか、サンキュー。
    「…コーヒー淹れる前に言えよな」
    「コーヒーじゃないのもあるじゃん」
    「俺はコーヒーしか飲まねェ」
    コラさんは?と問われても確かにその通りで、今からコーヒー飲むしなァ。
    むぅ、と頬を膨らませた猫ちゃんはローから離れ、今度は俺の背中にまとわりついてきた。同じように画面を見せられたから、スクロールしてフラペチーノを探す。
    「ロー、どうせドフィの奢りなんだから何か頼もうぜ」
    そう、どうせ兄の奢りなのだ。ピンクのスマホを鳴らしたのはドフィからのメッセージで、おそらく「そろそろ帰るけど何かいるか?」みたいな甘々の内容に違いない。俺は何でも知ってるぞ。だって猫ちゃんのスマホには、兄上と俺とローの連絡先しか入っていないもんな。
    「どうせならいちばん高いのにして…」
    自分で頼もうとしたらドジって頼めなさそうなやつ。というかこの呪文みたいなメニューをあのドフィが口に出してオーダーするのを想像しただけで面白いから、これにしよう。
    俺の意図はローにも伝わったらしく、今まで乗り気じゃなかった顔に、ニヤリと悪い笑みが浮かんだ。
    「じゃあ俺はコレだ」
    「ロー、お主も悪よのう」
    「コラさんこそ」
    結局ローがスマホを取り上げ、代わりに呪文メニューをスムーズにフリック入力。優雅な手つきで猫ちゃんへと戻した。
    あとはドフィが帰ってくるのを待つだけ!俺はポーズにしていた画面を再開させた。再開した瞬間、何故か死んだけど。まあいいか!

    そして1時間もたたず、兄上は帰宅した。ジャケットを脱ぎネクタイを緩めて一息つく間もなく、猫ちゃんが素早い動作で腰にまとわりつく。頭を撫でてやりながら、ドフィは紙袋を手渡した。
    俺とローはそれをニヤニヤしながら見つめる。視線に気づいたドフィは溜め息を吐きながらもう片方の紙袋を突き出した。
    「…何でもいいが、お前ら、自分が何頼んだのか覚えてるんだろうな」
    「覚えてねェけど、ドフィはちゃんと噛まずに言えたか?呪文メニュー!」
    「残念だったな、ネットオーダーだ。俺は取りに行っただけ」
    「えー!ツマンネ!」
    「チッ」
    「フフフ、お前らの考えなんざお見通しだ」
    文明の利器およびユーザーに優しい購入方法により、俺とローの『ドフィにムダにオシャレな呪文メニューを言わせよう作戦』は失敗に終わったわけだが、猫ちゃんはそんなことは関係ない。ニコニコしながら紙袋の中身をダイニングテーブルの上に並べている。
    えっと、ケーキ、ケーキ、ケーキ、タルト、シナモンロール、ケーキ…
    「…いや多くね?」
    ドフィは猫ちゃんに甘い。1つ強請られたら10与えるくらいには。無論、この場合も同じだ。
    ご機嫌で椅子に座る猫ちゃんの目が輝くのを、兄上は至極満足そうに眺めたあと、自分もその隣へ腰掛けた。
    「どうせ今日もまだロクなものを食べてやしねェだろう。好きなのを取りな。飲み物は紅茶がいいか?」
    「2個たべる!」
    「フフフフフ!たった2個でいいのか?」
    兄上からの熱烈な甘やかしにも、猫ちゃんはマイペースを崩さない。これがこの二人のすごいところでもある。コミュニケーションの崩壊だ。だからこそ相性はいいらしい。いや知らんけど。
    「ドフィさん、1個選んで」
    柔らかい髪がぐちゃぐちゃにもつれるほど、猫ちゃんの頭を撫でくり回している兄の機嫌はすこぶるいい。
    チーズケーキ、チョコケーキ、紅茶のシフォンケーキ、苺のタルト、シナモンロール、桃のムースケーキと並ぶなか、ドフィは迷いなく指をさした。すると猫ちゃんも迷いなく、別の種類を指さす。
    桃のケーキと苺のタルトを目の前に並べて、天使が笑う。あっ眩しい。
    「じゃあどっちも半分こして食べよ!」
    万事の先を読む兄上だが、この展開は予想できなかったらしい。一瞬ぽかんとした後、顔を手のひらで覆い、肩を震わせて笑い出した。
    「フッ、フフフフフッ!お前にはやっぱり敵わねェなァ!」
    アア…猫ちゃんの髪の毛がどんどんぐしゃぐしゃに…。
    というか、俺たちの呪文メニュー詠唱作戦には引っかからなかったくせに、ドフィめ。これがこの二人のすごいところでもある。見習いたくはねェけど。ホラ、ローなんて呆れてやがる。
    「惚気なら他所でやれドフラミンゴ」
    「なんだロー。お前とも"半分こ"してやろうか」
    「死んでもごめんだ」
    ローの悪態にも力がない。かくして俺たちはただでさえ甘い耳慣れぬ呪文ドリンクを、さらに甘い思いをして胃に押し込むことになったのだった。滅多なことはやるもんじゃねェな、兄上相手じゃ。(ひとりを除いて)
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