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    センリ°F

    メディア欄整理のためのプラス用格納庫。ぷらいべったー以外のサブのシリーズものを置いています。

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    センリ°F

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    現パロ🃏💋🐯宅の居候猫こと🌸

    -🃏相手プラスだけど逆ハー(なのか?)
    -🐯は🃏💋宅の同居人
    -🃏がある日🌸を拾ってきた
    -恋人というよりもほぼペット扱い
    -ゆるくシリーズ予定

    ##同居人シリーズ

    散髪の話皿洗いをする猫ちゃんの後ろには、大抵ドフィが立っている。働かざるものなんとやらで、居候の野良猫ちゃんが皿洗いをしてくれるのはいいけど、別段家事が得意というわけではないからだ。
    それでもまだ俺が皿を割りまくるよりマシらしい。兄上はコーヒーを淹れたり、冷蔵庫の在庫をチェックしたりしながら、猫ちゃんのお皿洗いをしっかり見守っているのだ。
    今日だって、LサイズのTシャツの袖が肘まで下りて濡れないよう、時折袖を捲り直してあげている。もはや当たり前すぎて、二人とも無言だし。
    しかし、今日に限っては「む」と眉を顰めたドフィが、猫ちゃんのオデコを手のひらで覆って、前髪を上げて言った。
    「お前、前髪伸びたな」
    ここで手を止めないのが、猫ちゃんのスゴイところでもある。確かに言われてみれば前髪が眉毛の下はおろか、まつ毛に触れるくらいまで伸びていた。本人は気にしてないみたいだけど。
    ドフィはリビングに向かって声をかけた。呼ばれたローはあからさまに面倒そうな顔をする。
    「何で俺が。お前お抱えの美容師でもなんでもいるだろう」
    「そこらの美容師なんざアテになるか」
    なんだそりゃ、という俺の心中。しかし、自分の話題も気にも留めない猫ちゃん。ドフィに前髪を上げられたまま、最後のお皿を洗い終わる。
    かくしてローはドフィの無茶振りのせいで、メスではなく散髪ハサミを持つことになった。

    とは言え我が家に散髪用具があるわけでもない。前髪だけならとバスルームに場所を移した俺たちは、即席カリスマ美容師・ローの手つきを見守ることにした。ドフィはなんだか楽しそうだ。
    身長差があるので大変そうなローとは裏腹に、猫ちゃんは大人しく目をつぶっている。
    「どれくらい切るんだ?」
    「眉毛の少し下まで」
    答えたのはドフィ。いや、本人の意思は?というツッコミは我が兄上には無駄なので、大人しくしておく。
    栗色の前髪を櫛で梳かして、ローはもともと悪い目つきをさらに悪くするように、目を細めた。銀色のハサミの先が、オデコと前髪の間に入る。
    ちょきちょきと音が立つわりに、落ちる髪の量は少ない。パラパラと床へと落ちる、茶柱みたいなそれ。櫛で何度か梳かしながら、ローはハサミを動かした。器用なもんだ、さすが外科医。
    「目ェ開けてみろ」
    まるい瞳がそっとひらく。ああ、たしかに。さっきよりも目がよく見えて、確かにかわいい。
    「…どうだ?」
    ローの聞く先は無論ドフィだ。いやだから、本人の意見は?兄は神妙な顔をしたかと思うと、いつもの笑い声を上げた。サングラスの奥でもちゃんと笑っているらしい。
    「うまいもんだ。さすがだな、ロー」
    「…おい撫でるな」
    ローの頭をくしゃりと撫でた大きな手は、そのままスライドして栗色の小さな頭へ。前髪に引っかかった残りの髪を払うようにしたあと、大事そうに撫でくりまわす。
    「可愛くなったぞ」
    猫ちゃんに手鏡を見せてやるとか、そういうことは全くする気がないらしい。それでもまあ、ローが切り揃えた前髪の長さはちょうどいいし、本人も気にしていないみたいだから、まあいいか。…いや、ほんとにいいのか?
    ドフィはしばらく椅子に座ったままの猫ちゃんを色んな角度から満足そうに眺めていたけど、さて、と自分は服を脱ぎ始めた。かと思えば猫ちゃんを立たせて、ぶかぶかのTシャツの襟首に手をかける。しばしポカンと見つめていた俺だったが、ようやく次の展開が分かって小さな悲鳴を上げた。
    「ちょっ、ドフィ!せめて俺らが出てからにしてくんない!?」
    「あァ?今さら何を気にしてやがる。弟のくせして」
    「違う違う!…ってローのやつ、もういねェし!」
    兄のものではない白いうなじと背中まで見えたところで、俺は一目散で脱衣室を出て扉を閉めた。これ以上は見てはいけない領域だ、たぶん、絶対。とは言いつつ、気にならないわけでもない。
    俺はコッソリ聴き耳を立てる。凪いだ海のように、音は立てない。二人の会話がやけにはっきり漏れ聞こえてくる。
    「下着痕が気になるな…家では付けなくてもいいだろ」
    「ローくんに怒られた」
    「照れてやがるんだ。お前は着痩せするから、いざ触るとデカい」
    「そうかなあ……。っ、ぁ…」
    「フフフフ…俺が言うんだから間違いない。…あとロシー、ドアきちんと閉まってねェから丸見えだぞ」
    げ、ドジった。なんて自省をしている場合ではない。これ以上はいけない。なんか色々と。普通の声色だった猫ちゃんが、急に秘めやかな声を出すもんだから気が気じゃない。夢に出そう。ドフィのその、意中のガールを口説くようなときとの境目ギリギリの甘い声色とかも、気が気じゃない。夢に出るな。
    馬に蹴られるのが先か、さらにドジって要らぬ火の粉を浴びるのが先か。どっちもごめんなので、俺はスーパーぎこちないスマイルを浮かべて、今度こそドアをきっちり閉めた。──あ、次は俺の前髪も、ローに切ってもらおーっと。
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