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    センリ°F

    メディア欄整理のためのプラス用格納庫。ぷらいべったー以外のサブのシリーズものを置いています。

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    現パロ🃏💋🐯宅の居候猫こと🌸

    -🃏相手プラスだけど逆ハー(なのか?)
    -🐯は🃏💋宅の同居人
    -🃏がある日🌸を拾ってきた
    -恋人というよりもほぼペット扱い
    -ゆるくシリーズ予定

    ##同居人シリーズ

    スコーンと紅茶の話夜勤から帰宅すると、平日の午後だというのに珍しくキッチンに兄がいた。ひよこのついた黄色いエプロンをつけて、ボウルに粉物をぶちこんでいる兄が。
    「…俺は夢でも見てんのか?」
    「おうロシー、おかえり」
    「ロシナンテ、おはようー」
    俺の独り言を軽くスルーした二人。もうひとりのほうは、フラミンゴのついたピンクのエプロンをつけてはいるが、スツールに座ったまま、特に何もしていない。していないどころか、目の前にはティーカップとアイスクリームの空きカップがあった。
    何してるんだ?とドフィに聞こうにも、答えはひとつしかないし、「エプロンをつけているにも関わらず何してるんだ?」という質問は猫ちゃんには意味がない。俺の疲れた脳みそをこんなことで無駄に回転させないでほしいが、とりあえずドフィには「何作ってるんだ?」と聞いてみた。
    兄はゴムベラでボウルの中身を混ぜながら、フフフ…とおおよそキッチンには似つかわしくない笑みを浮かべる。
    「スコーンだ」
    へェ、と生返事を返してみる。理由は、いま俺が頭に思い浮かべているお菓子のどれがスコーンなのか、イマイチピンとこなかったからだ。小麦粉とバターのお菓子のなかのどれかだ。俺の疲れた脳みそをこんなことで無駄に回転させないでほしい。
    換気扇の下でタバコに火を付けた。断じてお茶を濁しているわけではない。
    「チョコチップは入れるのか?」
    「入ってるのと入ってないのたべたい」
    「ハイハイ」
    アイスをスプーンで舐めながらスマホをスクロールする猫ちゃんが、スコーンのレシピを見ているらしい。
    器用な兄は初見のレシピでも平均点以上のものを作れるし、2回目以降はそこいらで店を開けるくらいのクオリティのものを作ってしまう。…俺だって、初見レシピの全てでクトゥルフを呼び覚ますことができるんだからな。
    「クローテッドクリームとイチゴジャムも」
    「そっちはもう用意できてる」
    あとは焼くだけだ、という言葉通り、温められたオーブンに成形したタネを乗せていくドフィ。もちろん、半分にはチョコチップを入れて。
    俺がタバコを1本吸い終わる頃には、すっかり兄のタスクが完了し、焼き上がりを待つだけになっていた。
    「あー…なんだ、その…ドフィ。エプロン、よく似合ってるな」
    「フッフッフ…遅いぞ」
    ニヤニヤしながら猫ちゃんの隣に腰を下ろし、こちらを見てさらに笑みを浮かべる兄。二人並ぶとエプロンの色とが柄がうるさい。というかそれ色違いのお揃いじゃね?どおりで夜勤明けに見るには胸焼けがするワケだ…
    俺がゲンナリした顔を隠さないのが本当におもしろいらしい兄上は、猫ちゃんの細い肩を抱き寄せて、こめかみに唇を落として言った。
    「…なかなかイカすだろ?」
    ウンまあ、兄上の金髪とパステルカラーのひよこちゃんが同じ色だね。同色系でまとめてあっていいんじゃない?知らんけど。
    「ドフィさん、かわいいよ」
    「フフフフフッ!」
    すり、と兄の頬へ擦り寄る猫ちゃんは可愛いよ?兄上がかわいいかは置いておいてね。アッこれたぶんアレだな?相手のエプロンを選び合ったやつだな?胸焼けを通り越して頭痛がしてきた。
    世界で唯一ひとりだけ、ドンキホーテ・ドフラミンゴに面と向かって「かわいい」と宣う怖いもの知らずは、天使のような笑みを浮かべながら悪魔(仮)からのキスを額に受けている。
    「…なんかスコーンよりも濃いめのお茶が飲みたくなってきた」
    まだ何も食べてないのに口の中と脳みそが甘ったるい。溜め息を吐く俺の心中など知らずに…いや絶対知っているであろう兄上は、意外にも「そうだな」とひとつ返事で同意して再び立ち上がった。
    「そもそも、いい茶葉が入ったから家でアフタヌーンティーでもしようとしてたんだぜ?」
    舌の肥えたドフィにそんなことを思いつかせられるのは、世界で唯一ひとりだけだ。戸棚から茶葉の入った銀色の缶を取り出した兄は、気に入りのヤカンに水をいれてコンロにかけた。
    白いホウロウのヤカンは、注ぎ口が細く、美しくカーブしていて、さながらフラミンゴの首のよう。たかがヤカンだろ、と前にローが呆れていたが、兄が紅茶用にとわざわざどこからか調達していたシロモノだ。
    ふつふつと水がお湯になっていく音を聴きながら、もう一本タバコに火をつけていると、オーブンからも香ばしい香りがしてきたぞ。
    「ん?なに、それ」
    すっかりアイスを食べ終わった猫ちゃんは、何やら膝の上に抱えたもふもふを抱き上げて胸に抱えている。なに、と聞いた俺が言うのもなんだが、まあ見ればわかる。ぬいぐるみだ。たぶん猫……
    「たぬき」
    ……たぬきだ。ウン、どこからどう見てもタヌキ。全体的に茶色いし、まるいし、もふもふしてるし。ネコにしてはシャープネスが足りないもんな。
    沸いたお湯でカップとポットを温めて、茶葉を落とす兄の手つきは優雅だ。それを見つめながら、猫ちゃんはたぬきの頭に顎を乗せて、くふ、と笑った。今度は天使というよりもなんだか酔っ払いみたいな笑みで。
    「なかなかイカすでしょ?」
    おおかたドフィが買い与えたのだろう。普段から金遣いが荒めの兄は、猫ちゃんに関することになるとさらに金銭感覚がパーリナイしてしまう。今だって、ティーカップを置いたその手で、嬉しそうな猫ちゃんのあたまをくしゃくしゃなでなでわしゃわしゃしている。
    「おまえはかわいいなァ」
    エプロンの柄が柄なので、その構図だとちょっとした保育園にも見えなくないけど、兄上も猫ちゃんも嬉しそうだからいいか。胸焼けがスゴイけど、俺はお茶飲んだらもう寝るし、後は若いものたちだけでごゆっくり…
    「ロシー、砂糖かハチミツ要るか?」
    「…イエ、甘いものはいま結構デス…」
    「なんで片言なんだ」
    結局、スコーンの焼き上がりを待たずに寝た俺は、夜になってローから「帰宅したらリビングであいつらが我が物顔で昼寝していた」という愚痴を聞かされるのだった。俺に言わせりゃ、ぬいぐるみをお腹に乗せた猫ちゃんをお腹に乗せたドフィが、お腹いっぱいになってソファで寝落ちしてるなんて、ただの世界平和だと思うけど、確かに研修疲れのローはちょっと胸焼けがしたのかもしれない。
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