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    センリ°F

    メディア欄整理のためのプラス用格納庫。ぷらいべったー以外のサブのシリーズものを置いています。

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    現パロ🃏💋🐯宅の居候猫こと🌸

    -🃏相手プラスだけど逆ハー(なのか?)
    -🐯は🃏💋宅の同居人
    -🃏がある日🌸を拾ってきた
    -恋人というよりもほぼペット扱い
    -ゆるくシリーズ予定

    ##同居人シリーズ

    タヌキとアイスの話この家には棒アイスがない。とはいえ、放っておくと3食食べている人間のせいで、我が家の冷凍庫にはカップアイスはみっちりストックされている。他でもない、過保護で過干渉なドフラミンゴが忙しい身にも関わらずマメに補充しているせいだ。
    ドフラミンゴが棒アイスを買ってこないのには、れっきとした理由がある。
    この家のトラブルの発端の全ては、コラさんのドジだ。俺とドフラミンゴは長年の付き合いから、それを最大限回避したり防いだりする術を身に付けているのだが、もう一人はそうはいかない。むしろコラさんのトラブルの要らぬ火の粉を浴びていることが多い。
    非番のコラさんに失敗料理を振る舞われていたり、買ってもらったコーラが爆発したり、スマホごと服を洗濯されたり、とにかく巻き込まれ体質が過ぎる。
    そして本人はそれを全く気にしていないのも凄い。いつも片方の頬にデカすぎら食べカスをくっ付けている男も相当だと思うが、コイツは単に鈍臭いんだと思う。ドフラミンゴは猫を拾ってきたと言うが、俺に言わせればコイツはタヌキだ。
    そしてある日、洗濯物を取り込んできたコラさんが転んでぶちまけたタオルを踏んだタヌキが、つるんと滑って転んだ。そこまではよかったのだが、手に持っていたチョコアイスを思い切り洗濯物にべっとり落としてしまった。
    「ドジった!いやあああ!マジごめん!大丈夫か!?」
    「大丈夫、地面に落ちたわけじゃないから食べれる」
    「いやそっちじゃねェ」
    「まァ、怪我がねェなら良かっ……」
    ドフラミンゴは溜め息混じりの言葉を言い終わる前に、タオルに埋もれているタヌキを見て絶句した。
    少し赤くなった鼻先と額。たらり。鼻からツウと垂れる、血。そこからは速かった。
    忍者か?と見まごう身のこなしで立ち上がり、救急箱とティッシュを持ってきたドフラミンゴは、未だに呆けているタヌキの前にしゃがみ込むと、まるで小さなぬいぐるみに大手術を施す子供のように、恐ろしく手厚い手つきで、額と鼻を検分し始めた。
    「…頭打ったのか?目は見えるか?おいロー、脳のCTってお前の病院で今から撮れるか?外科はお前がいるとしても、脳外科とか神経外科とかで空いてるヤツいるか?」
    「……」
    いや用心に越したことはないがその剣幕で言うんじゃねェ、幼児じゃねェんだぞ。というツッコミすら気まずくなるほど、ドフラミンゴはマジだった。コイツのこういうところが本当に嫌だ。家出したい。
    「…病院行ってもそいつの鈍臭さは治らねェぞ」
    ティッシュでも詰めとけ、と溜め息を吐いた俺は、とりあえずアイスの被害に遭っていないタオルを拾い集めることにした。

    つまりこの問題の再発防止に最も効果的ということで実行されたのが、棒アイスの全面購入停止措置というわけなのだが。なんかそれっぽく言ってみたが、要はドジってもアイスを落として溢さないように、そもそもアイスを歩きながら食べないようにさせるために、棒アイスからカップアイスに切り替えられただけだ。
    しかし──、
    「…それはさすがにやりすぎなんじゃねェか?」
    コラさんが仕事の日。つまりこの家で悲劇が起きない日にも関わらず、タヌキを膝の上に乗せているドフラミンゴは、その小さな口へ、スプーンで甲斐甲斐しくバニラアイスを運んでいる。
    タヌキはと言えば、特に気にする素振りもなくスマホを弄りながら、時折口を開けて施しを受けている。
    「フフフ…なんだ、羨ましいのか?」
    「話をややこしくするな」
    中年男が世迷い事を吐くので一蹴する。くしゃみをした膝の上のタヌキへ、ブランケットを掛けてやる甲斐甲斐しさもゲロ甘だ。ていうか寒いならアイス食うなよ。
    ドフラミンゴは口の端を上げて、膝の上のふわふわタヌキを気に入りのぬいぐるみみたいに抱きしめた。タヌキはと言うと、腕の中に閉じ込められたぬくみのせいかデカい欠伸をしている。
    2回り近くも年の離れた男に囲われて、ベタベタに甘やかされて、過保護にまとわりつかれているというのに、相変わらず一切気にする素振りがない。よほど神経が図太いのか、よほどコイツを信頼しているのか。
    ドンキホーテ・ドフラミンゴの、綺麗なほうのツラではないほうもよく知っている俺からしたら、この得体の知れない男に身も心も預けるなんざ、よほどのバカか命知らずがやることだ。コイツが鈍臭いタヌキでむしろよかったのかもしれない。
    「大体…お前も似たようなことして、コイツを甘やかしてるじゃねェか」
    ドフラミンゴが、さらに至極嬉しそうな声で言いやがるので、舌打ちを返す。くたばれ悪魔野郎。お前と一緒にするな。
    「わかるぜ?俺とお前は同類だからな」
    俺がギロリと睨んでも、弾む声色を隠しもしない。栗色のつむじの匂いを嗅ぐように、すりすりと頬擦りして、ニンマリ笑いかけてくる。
    「危なっかしくて見てられないんだろ?大したことは起きねえと分かっているのに、思わず手を伸ばしちまう」
    お前はそういう男さ、と歌うように言って、腕の中のぬくみを横抱きにする。眠そうに目を細める女の頬へ口付けすると、ドフラミンゴは「お前は可愛いなァ」と囁いた。
    サングラスの奥で輝く瞳がどんな色を称えているのか、俺は気付かぬふりをして、すっかり放り出されたバニラアイスをカップごと奪い取ってやった。
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