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    センリ°F

    メディア欄整理のためのプラス用格納庫。ぷらいべったー以外のサブのシリーズものを置いています。

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    センリ°F

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    現パロ🃏💋🐯宅の居候猫こと🌸

    -🃏相手プラスだけど逆ハー(なのか?)
    -🐯は🃏💋宅の同居人
    -🃏がある日🌸を拾ってきた
    -恋人というよりもほぼペット扱い
    -ゆるくシリーズ予定

    ##同居人シリーズ

    冷やし●●の話そろそろアレを始めたい時期だ。俺はファミマに行くという猫ちゃんと、そのお目付役としてついていくローにあるものを頼んだ。財布をポケットに突っ込んだローは玄関先で心底めんどくさそうな顔をしていたけど、このワクワクは止められない。対する猫ちゃんは俺の気持ちを理解してくれたようで、「任務了解した!」と張り切っていたので、俺は敬礼を返したのだ。
    「なんだロシー、随分とご機嫌じゃねェか」
    二人を見送ってすぐ、書斎で仕事をしていたらしい兄上がリビングへやってきた。水出しのアイスコーヒーをグラスに注いでいるので、俺もゲームを中断しておこぼれに預かる。時刻はそろそろ昼前である。
    「ふふふ…ドフィ、俺は今日、夏の訪れには絶対必要なものを食べるんだぜ」
    「なんだそりゃ」
    そうかそろそろ昼か、と呟いた兄は少々ワーカホリック気味だ。最近では多少マシになってきてる気がするけど。
    ドフィはコールドブリュー用のボトルを仕舞って冷蔵庫の扉を閉めるかと思いきや、何やらガサゴソやっている。メシでも作るんだろう。
    冷たいコーヒーを半分くらいまで一気に飲み干して、再度ゲーム画面に戻る。新しい武器のためにレア素材が必要なのだ。このところ毎日毎日同じクエストをやっている。
    俺が無事三乙せずにクリアする頃、ガチャリと玄関の扉が開いた。すぐに騒がしい足音と「先に手を洗え」という小言が聴こえてくる。
    「ただいま〜」
    「おかえりぃ!」
    手を洗ってうがいもした猫ちゃんが、リビングに滑り込むように入ってきた。暑かったのか、汗で前髪がもっちゃりしている。次いで、両手にビニール袋をぶら下げたローも入ってきた。
    「暑ィ」
    「アイス食べたい」
    「メシのあとにな!ホラ早く食べようぜ〜」
    若干ぐったりしているローと、ちゃっかりアイスを食べようとしている猫ちゃんをダイニングテーブルに座らせた俺は、コンビニ袋の中からお目当ての品を見つけてウオオと叫んだ。
    「冷やし中華ァァ!始めましたァァ!!」
    「始めたのはコラさんじゃなくてファミマな」
    思わず天に掲げたプラスチック容器。透明な中に黄色いたまご麺が入っている。錦糸卵、キュウリ、カニカマ、ハムの彩りは最高だ。やっぱ夏はこれがなくちゃ始まらない。
    ローのローテンションツッコミを食らいながら、俺は麺を溢さないように慎重に蓋を開け、具を溢さないように慎重に上に乗せ、最後にスープをぶちまけないように細心の注意を払って猫ちゃんに回しかけてもらった。向かい側のローからは溜め息が漏れるが、冷やし中華の安全には変えられない。
    「ロシナンテのは醤油だれ、わたしのは胡麻だれ」
    「おお!さっすが!お目が高い!」
    夏が始まったというのにおにぎりを買ってくるローとは大違いだ。同じように自分の冷やし中華を完成させた猫ちゃんは、ニンマリしながらお箸を持つ。二人で顔を合わせていただきますしようとしたそのとき。
    「ちょっと待った、夏と言えばなんだって?」
    「ふあ」
    ぺち、と猫ちゃんの額を大きな手のひらが覆う。完全に兄上から食べる初動作を邪魔された彼女は、妙な体勢のまま固まった。
    今日はなぜかサロンタイプのオシャレエプロンを腰に巻いたドフィは、猫ちゃんの額もとい目元を覆ったまま、後ろから悪ーい笑みを浮かべる。もちろんそれは、俺に向けてだ。
    「暑い道をコンビニまで歩いたイイコにご褒美をやろう。なァ、ロシー?」
    俺はファミマまで行ってないけどね。エアコンの効いた涼しい室内でモンハンしてたけどね。
    兄が悪い顔を見せつけてくるときは本当にロクなことがないので、素直に頷いておく。俺の反応に満足気なドフィは、俺と猫ちゃんの冷やし中華のスペースを空けて、優雅な動作で透明な丸皿を置いた。
    「冷やし中華派のおまえが、気に入ってくれるといいんだけどな?」
    ちゅ、と猫ちゃんのこめかみにキスしたドフィは、恭しく悪魔の手のひらを退けた。俺たちよりワンテンポ遅れて皿の中身を目にした猫ちゃんの、瞳が一瞬でキラキラと輝く。
    「…おいしそう!かわいい!おいしそう!」
    今、おいしそうって二回聞こえた気がしたけど気にしないことにしよう。
    くるりんと綺麗に1束ずつ巻かれた細い麺。白、緑、ピンクでカラフルな彩りだ。ご丁寧にも氷は星のカタチ。添えられているカマボコは飾り切りでフラミンゴのカタチ。カイワレ大根とネギが添えられた、兄上特製冷やし素麺。明らかに当て付けだ。冷やし中華もとい猫ちゃんの帰りをウキウキして待ってた俺への。
    「…大人気ねェ…」
    「フッフッフ…ちなみに揖保乃糸だ」
    「早く食わねえとどっちも伸びるぞ」
    「いただきます!」
    肩を落とす俺、嬉しそうな兄、呆れておにぎりを頬張るローを尻目に、猫ちゃんの箸は迷わずピンク色のそうめんに伸びた。冷やし中華、終わりました。
    そんな姿に心底満足そうなドフィは、悪戯が成功したガキみたいな顔で笑うと、椅子を引いて猫ちゃんの隣へ座る。かと思えば、ちゅるんとそうめんを啜るのを、目を細めて静かに見つめている。
    普段の砂糖を吐きそうな甘いスキンシップとは別に、こういう兄のまなざしはなかなかだと思う。本人に自覚があるかどうかわからないけど。…ただまあ、ポニーテールから覗くうなじを、Tシャツの襟に指を突っ込んでまじまじと見てるのはどうかと思う。
    「おまえ、外に出るときは日焼け止め塗れって言っただろう」
    「コンビニ、近いからいいじゃん」
    「そういう問題じゃねェ。おいロー、」
    「俺を巻き込むな」
    兄弟喧嘩と痴話喧嘩、するんならどっちかにしろ。というローのボヤきを聞きながら、俺は結局醤油味と胡麻味の冷やし中華を平らげるハメになったのだった。ちょっぴりしょっぱかったけど、美味しかった。
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