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    センリ°F

    メディア欄整理のためのプラス用格納庫。ぷらいべったー以外のサブのシリーズものを置いています。

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    センリ°F

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    現パロ🃏💋🐯宅の居候猫こと🌸
    *💋はお休み

    -🃏相手プラスだけど逆ハー(なのか?)
    -🐯は🃏💋宅の同居人
    -🃏がある日🌸を拾ってきた
    -恋人というよりもほぼペット扱い
    -ゆるくシリーズ予定

    ##同居人シリーズ

    水分補給の話じっとり、汗でシーツが背中へ貼り付く不快感で、ドフラミンゴは目が覚めた。
    身体のサイズに合わせた特注のベッドは、自分ともう1人が自由な体勢で寝入っても不自由ない広さだが、夏も冬も寒がりな同居人は腹の脇へぴったりくっついて寝こける。今日も同じように隣で丸くなったはずだった。
    身体を起こしたドフラミンゴは額の汗を拭うと、隣に転がる猫を見下ろした。聞こえるのはいつものすうすうとした寝息ではない。随分息苦しそうにしているので、眉を寄せてベッドサイドの灯りを点ける。
    キャミソールから剥き出しの肩や首筋には、うっすら汗が浮いていた。髪も寝汗で額に貼り付き、丸まる手足の指はだらりとしていて力がない。
    …暑い。エアコンは点けている筈だが。リモコンに手を伸ばして確認しても、設定温度は26度。冷房表示になっている。しかし、実際には温風が出ているらしく、体感温度は30度を超えていた。
    「チッ…おい、大丈夫かよ」
    「う……」
    この熱帯夜でも寝汚い同居人を揺り起こす。エアコンが壊れたに違いないので、このまま寝せておくと熱中症になりかねない。反応が鈍いのは寝起きのせいだけではないらしい。
    ぐったりした猫を抱き上げたドフラミンゴは、部屋の窓を開けたのち、寝室のドアを蹴飛ばすように開けた。

    直行したのはバスルーム。薄着の猫を抜き身にするのは容易い。上裸の自分もさっさとルームパンツを脱ぐと、猫を抱えたままシャワーのコックを捻った。
    ぬるい雨で、火照った身体とべたつく汗を流していく。湯を張っていないバスタブへ2人で入り、次は冷水で手足を冷やす。冷やした手で猫の首を、頬を撫でてやると、重たい瞼がゆっくりと開く。
    「…ドフィさん」
    「気分はどうだ?頭は痛くねェか?吐き気は?」
    「だいじょぶ…」
    ふわふわの声が近い。どうしたのと聞かないあたり、この生き物が自分にどれだけの信頼をおいているかが解り、ドフラミンゴは場にそぐわぬ笑みを溢した。ひんやりした腕が首に回ってくる。
    「エアコンが壊れた。今日はリビングで寝るぞ」
    「…キャンプみたい。たのしそう…」
    「フフ、そうだな」
    起きているか寝ているか分からぬ声色が、夢の続きのような言葉を紡ぐので、ドフラミンゴはまた笑った。頬を触ると、すっかり平常の体温に戻っている。
    濡れた髪もタオルドライだけしてリビングへ。意外にもダイニングの電気は点いていて、パソコンと睨めっこする医学生がこっちを向いた。
    「…なんだお前ら。雁首揃えて」
    「エアコンが壊れたらしい。コイツが熱中症一歩手前だった」
    成る程とローはブルーライトカット眼鏡を上げた。抱えている猫は寝ているのではなく、また主人の過保護が発動しているらしい。だが、熱中症は油断すると命取りになる。それもドフラミンゴもわかっているからキッチンにやってきたのだ。
    「麦茶のみたい」
    「ダメだ」
    「…一番上の段に入ってるはずだ。コラさんが間違って飲んでなきゃな」
    ローの言う通り、冷蔵庫の一番上の段には500mlペットボトルの経口補水液が仕舞われていた。ジュースと間違って誰かが飲まないように、わざと届きにくい場所にストックしていたのだ。
    猫を腕に抱いたまま、ドフラミンゴはペットボトルを取って蓋を開ける。手渡すと、見慣れぬ飲み物に、猫の鼻がクンクンと飲み口を嗅いだ。しかし、ひとくち飲んだ顔が、みるみるうちに歪んでいく。
    「…へんな味」
    「なら大丈夫だ。もう少し飲んだら寝るぞ」
    べ、と舌を出した猫からペットボトルを取り上げて、自らもごくりと飲む。塩気と薄い甘さは、確かに美味い代物ではない。
    ローの真上だけのシーリングを点けて、リビングは暗いまま。ソファの上へ猫を下ろして、クッションとブランケットで簡易ベッドを作る。口元までブランケットを引き上げてやると、下がり眉が見上げてきて、ドフラミンゴは首を傾げた。
    「…どうした?」
    「…さむい」
    特大のL字ソファが2つ並ぶリビングは、規格外の大人2人は寝られるキャパシティである。例に漏れず、ドフラミンゴが一晩眠るくらいは問題ないし、ましてや猫ならば悠々と眠ることができる。
    しかし、そんな目で縋られては堪らない。口をへの字にする間もなく、主人はブランケットごと、猫の身体を掬い上げた。
    ソファの背もたれと自分の身体の間に、しっかり挟んでソファに寝転がる。お世辞にも広いとは言えないのだが、猫は腕の中でごろごろと喉を鳴らしているので満足そうだ。
    「これならいいだろ?」
    「ウン」
    日に焼けた素肌へ頬を寄せた猫は、すっかり瞳を閉じていた。体温の高い身体は夏も冬も湯たんぽにちょうどいいのだ。ドフラミンゴが上半身を晒してベッドに入るのは、こうするとこの寒がりがいっそうくっついてくるからであった。
    脚を絡ませてやると、すべすべのふくらはぎがきゅ、とくっついてくる。ぬくみと柔らかさに、ドフラミンゴは溜め息を漏らし、そのまま目を閉じた。
    狭いソファで身体を寄せ合う主人と猫を、ダイニングから見ていたローは、あの悪魔のような男も平和な寝息を立てるのだなと、すっかりぬるくなったアイスコーヒーを啜った。
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