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    CitrusCat0602

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    さっくり読める チコとグラの軽い戦闘シーン

    「よろしくお願いします、姉様!」

     ぐ、と握りこぶしを作り、グラウクスはしかと血を分けた姉のことを見た。チコーニャはに、と笑う。ぱちりと電気が空気を伝う音がして、二人は同時に竜の姿へと転身した。事の発端は数十分前、グラウクスが彼女に手合わせを願ったことから始まる。最初チコーニャは人の姿で相手をしようと思っていたが、久しく竜として戦っていないグラウクスの頼みにより竜の姿で戦うことになっていた。

     二人の身体から雷の光がほどけ消えていく。互いに視線がぶつかり合い、チコーニャは先手を譲るというようにくい、と顎を動かした。グラウクスが軽く唸り声を上げる。よく耳を澄ませなければ聞こえないほど微かに物音がした。次の瞬間弟の姿が掻き消える。

    「……」

     チコーニャは微かに首を持ち上げ、目を動かした。グラウクスの後を追うようにして空気が揺らぎ、渦を巻く。
     彼はそのままチコーニャの周りを囲うように走り、その場から逃げられないように拘束した上で大きく跳躍した。自分の足元に影が差すのをチコーニャは視認する。そのまま彼女に翼による殴打を食らわせようとしたグラウクスのその横腹に何かが強く打ち付けられ、グラウクスはそのまま吹き飛ばされた。着地した後、ざりざりざり、と爪を立ててその場に静止しようとする。

    《思っていたよりも軽いですね、グラウクス》
    「!」

     空気を切る音と共に、翼の刃が喉元目掛けて振りぬかれていた。咄嗟に身を逸らすが間に合わず、どうにか喉元に直撃というのは避けられたものの攻撃を肩に食らう。前脚が地面から離れ、更に前身を逸らしていたために不安定な体勢になったグラウクスはどうにか立て直そうと試みた。
     しかしそれも隙を見逃さなかった姉に阻止され、そのまま首根っこに噛みつかれる。チコーニャは抵抗する弟をしっかりと口に咥え、勢いをつけて投げ飛ばした。そのままグラウクスは背中から地面に強く叩きつけられる。更に追い打ちをかけようとするチコーニャにグラウクスは腹を見せて降参の意を示した。
     二体の身体が再び雷に包まれ、人の形に変わる。

    「……もういいんですか?」
    「姉様の強さを再確認したかっただけですので、もうすっかり満足です」
    「たった数度打ち合っただけですよ?」

     不完全燃焼なのだろうか、チコーニャが口を尖らせてそういうので、グラウクスはしぱしぱと瞬きを数度繰り返した。それから目を輝かせ、では!と立ちあがる。

    「でしたら今度は人の姿で戦いましょう、姉様!こちらはもう少し楽しませられるかと思います!」
    「体力自体は有り余ってるんですね……ではそうしましょう」

     流石に怪我をしたとかそういうことなら彼女も我慢したが、どうも本当にそういうわけではないらしい。竜なのに竜としての姿より人としての姿の方が戦闘に自信がある、というのもどうなのか、という気持ちにはなるが、そもそも雷の竜は戦闘向きではないから仕方ない。チコーニャは張り切って剣に手をかける弟を見ながら、同じように剣の柄を握りしめた。
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