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    CitrusCat0602

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    CitrusCat0602

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    咲いたグラ君の話 途中

    「やっぱ変なんだよ」

     アゲハが頬杖を突きながらそう言った。何が?と言うように首を傾げるチコーニャをび、と指差して、アゲハは口を開く。

    「お前の弟の話だよ。」

     チコーニャはぱちりと瞬いた。自分が見ている場所ではそんなことはないのに、と言いたげなので、アゲハは首を横に振りながら説明してやる。
     いつ頃からだったか、正確な時期はわからないものの、あるときからグラウクスの様子がおかしいのだという。チコーニャの前では上手に隠していつも通りに振舞っていたものだから、彼女は全く気づいていなかった。
     さて、どのようにおかしいのかと言えば、ある人物を見た時に顔を歪めるのだそうで。

    「……ま、多分お姉ちゃんが取られたとか、そういう感じだろうがな」
    「ええ……?」
    「だってカノープスにプロキオン、ユーダリルを見たときにそんな感じの顔をするんだぜ?しかもグラウクスはお前のことを良く慕っている」

     ちゃんと構ってやれよ、だなんてアゲハが笑うので、チコーニャは考え込むように顎を擦る。

    「……わかりました、ちょっとグラウクスと話してみます」
    「おう、それがいいな。まあ喧嘩になったら仲裁はしてやるよ」

     アゲハが笑いながらそういうのを、他人事だからって、なんてため息を吐きながらチコーニャは聞いていた。お互い仕事がある身の上なので、早いうちに話した方がいいだろう。そう思ったチコーニャは、今日恐らく休みなのだろう弟の家を訪ねることにした。席を立ち、店を出て行くチコーニャをアゲハは見送る。
     そして、その日からチコーニャはグラウクス共々姿を消すことになった。
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