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    CitrusCat0602

    @CitrusCat0602

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    CitrusCat0602

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    咲いたグラ君の話 途中

    「やっぱ変なんだよ」

     アゲハが頬杖を突きながらそう言った。何が?と言うように首を傾げるチコーニャをび、と指差して、アゲハは口を開く。

    「お前の弟の話だよ。」

     チコーニャはぱちりと瞬いた。自分が見ている場所ではそんなことはないのに、と言いたげなので、アゲハは首を横に振りながら説明してやる。
     いつ頃からだったか、正確な時期はわからないものの、あるときからグラウクスの様子がおかしいのだという。チコーニャの前では上手に隠していつも通りに振舞っていたものだから、彼女は全く気づいていなかった。
     さて、どのようにおかしいのかと言えば、ある人物を見た時に顔を歪めるのだそうで。

    「……ま、多分お姉ちゃんが取られたとか、そういう感じだろうがな」
    「ええ……?」
    「だってカノープスにプロキオン、ユーダリルを見たときにそんな感じの顔をするんだぜ?しかもグラウクスはお前のことを良く慕っている」

     ちゃんと構ってやれよ、だなんてアゲハが笑うので、チコーニャは考え込むように顎を擦る。

    「……わかりました、ちょっとグラウクスと話してみます」
    「おう、それがいいな。まあ喧嘩になったら仲裁はしてやるよ」

     アゲハが笑いながらそういうのを、他人事だからって、なんてため息を吐きながらチコーニャは聞いていた。お互い仕事がある身の上なので、早いうちに話した方がいいだろう。そう思ったチコーニャは、今日恐らく休みなのだろう弟の家を訪ねることにした。席を立ち、店を出て行くチコーニャをアゲハは見送る。
     そして、その日からチコーニャはグラウクス共々姿を消すことになった。
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    akira_luce

    DONE七夕の時にあげた丹穹。

    星核の力を使い果たし機能を停止(眠りについた)した穹。そんな穹を救うために丹恒は数多の星に足を運び彼を救う方法を探した。
    しかしどれだけ経っても救う手立ては見つからない。時間の流れは残酷で、丹恒の記憶の中から少しづつ穹の声がこぼれ落ちていく。
    遂に穹の声が思い出せなくなった頃、ある星で条件が整った特別な日に願い事をすると願いが叶うという伝承を聞いた丹恒は、その星の人々から笹を譲り受け目覚めぬ穹の傍に飾ることにした。その日が来るまで短冊に願いを込めていく丹恒。
    そしてその日は来た。流星群とその星では百年ぶりの晴天の七夕。星々の逢瀬が叶う日。

    ───声が聞きたい。名前を呼んで欲しい。目覚めて欲しい。……叶うなら、また一緒に旅をしたい。

    ささやかな祈りのような願いを胸に秘めた丹恒の瞳から涙がこぼれ、穹の頬の落ちる。
    その時、穹の瞼が震えゆっくりと開かれていくのを丹恒は見た。
    一番星のように煌めく金色が丹恒を見つめると、丹恒の瞳から涙が溢れる。
    それは悲しみからではなく大切な人に再び逢えたことへの喜びの涙だった。
    「丹恒」と名前を呼ぶ声が心に染み込んでいく。温かく、懐かしく、愛おしい声…。


    ずっと聞こえなかった記憶の中の声も、今は鮮明に聴こえる。
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