狼さんとネズミさんと。夕暮れ時。
オレンジに染まる街を見ながら。
通い慣れた道をほんの少しだけ逸れて、私は歩いていた。
***
今日はスケートリンクの大規模な清掃があり、少しだけ早く練習を終えた。
夕暮れの、涼しくなった秋風が気持ちいい。
はなたちと過ごす時間が日に日に増えて、スケートの練習もあって。
ほまれの毎日はぱっと明るく賑やかになっていった。
だけど、こうして一人でいる時間も、嫌いじゃない。
適当に歩いていたほまれは、その見覚えのある道に顔を上げた。
「・・・・あ、」
そうだ。
そう言えばこの道。
前にも走りながら通った道。
そのまま歩いて行くと、ふいに視界が開ける。
そこにはあの日と変わらない公園があった。
さっきまで子どもたちがいたのだろうか、地面に落書きをした後や少し砂のついた遊具。
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