毎日SS8/18「待っていざとなったらめちゃくちゃ緊張する」
「ほんの一瞬バチッとするだけや」
「その一瞬が怖いんだろ」
ピアスを開けたい、と漏らしたのは、雑貨屋で格好良いピアスを見つけたからだ。
なら開けたるわ、と自身も耳たぶにピアスが開いているカンシが申し出て、その場の勢いでピアッサーを買った。カンシも、ニコの友達も、みんな開けている。
「ぎゃーぎゃーうっさいな、さっさとやるで」
「待ってまってまって」
ピアス開けて、とリビングで雑誌を読んでいたカンシに声を掛けた。耳を消毒し、開けたい場所に印をつける。あとはそこにピアッサーを挟み、握り込むだけだ。
「……正気?」
「ここまできてビビってる方が正気疑うっちゅうねん」
インターネットで何度も情報収集をした。ピアスを耳に着けているカンシだって、痛みはほんの一瞬だと言っていた。知ることによって緊張感を和らげていたのに、現実はなかなか上手くいかない。
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