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    rennrenn214

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    社会人が大学生を雇う話

    🍓が社会人、🎸くんが大学生のカヨ月。
    両片思いのカヨ月、まだ付き合ってない



    「月翔?お仕事はどう?元気にしてる?ちゃんとお野菜食べてる?」
    「うん、ちゃんと食べてるよ」
    「自炊とかしてちゃんと栄養考えなきゃダメだからね?パパもずっと心配してるんだから...またこっち帰ってくるとき連絡ちょうだいね」
    「うん、母さんも体調気をつけてね。」

    通話終了の文字を見て今日一番の大きいため息をつく。
    社会に出て働き始めてしばらく経ったが、正直家に帰った瞬間に無がやってくるので家事なんてやってる暇ない。
    周りに心配かけたくないからちゃんと食べてるだの自炊してるだの嘘をついているが、実際のところ面倒でぼーっと映画見ながら座ってたら食事を忘れることが結構ある。
    (流石にお昼は周りの目もあるし、適当に食べるから大丈夫だとは思うけど...)
    今後についてグルグル考えていたら玄関のチャイムが鳴った。

    「あれ、烏丸」
    「あれ。じゃねぇよ、今日約束してただろ」
    「あー...」
    とりあえず烏丸を部屋に通して玄関の鍵を閉める。
    「ごめん、飲み物とか出してあげたいけど買うの忘れてた。ウォーターサーバーあっちだから、適当に飲んでいいよ」
    「お前...つーか引っ越してから始めてきたけどこの部屋...」
    「なに」
    烏丸が周りを見渡している。別に何も変なものなんて無いんだけど
    「ほんとに何もねぇな」
    「いや、あるじゃん。テレビとか、パソコンとか。ソファーもあるし、本とか...ちゃんと寝室にもベッドとかあるし...」
    「普通もうちょっとものあるだろ。娯楽が無さすぎてお前普段何してんだよ」
    「何って...」
    たしかに。生活に困ることはないけど家にいる時って俺何してるんだろ。
    テレビ見て、パソコンで作曲の真似事してみたり、なんか本読んだり...結構充実してるかもしれない。
    「まぁ俺のことはいいよ。烏丸の勉強みるの久しぶりだし、さっさと始めよ。まぁ教えること特にないと思うけど」
    「おう」

    烏丸がペンを滑らせる様子を眺めてそれなりの時間がたった。
    烏丸は勉強ができるので相変わらず特に教えることはない。
    「...お腹すいた」
    「...仕方ねぇな、息抜きになんか作ってやってもいいけど」
    「え!じゃあ...、あ。」
    烏丸がキッチンの方へ向かって冷蔵庫を開ける
    「お前........」
    「あー...」
    空っぽの冷蔵庫、誰にも見せたことはなかったが烏丸ならまぁ、別に隠すことでもないよな。
    「おい、ちゃんと飯くってんのか」
    「食べてるよ、冷蔵庫使わないだけで」
    「じゃあ昨日の夜何食べたんだよ」
    「...昼は適当なカフェ行ってきた」
    「で、夜は」
    「...なんか、適当に」
    「....」
    あれ、昨日の夜食べたんだっけ、うーん...昨日見た映画が面白かったことは覚えてるんだけどな。普通に夢中になってて忘れてたかもしれない。
    「これじゃなんも作れねぇだろ。」
    「まぁそうだろうな。」
    「お前が無駄に高い場所に住むせいで買い物行くのにも時間が...」
    「い、いいじゃん別にどこに住んだって...まぁいいや、烏丸の勉強終わったら買い物行こ」
    何か言いたげな顔をしながら烏丸が戻ってきて勉強を再開した。
    次からはちゃんと適当なもの冷蔵庫に入れとこ。


    買い物が終わってオートロックを開ける。
    最初は適当な部屋選ぼうと思ってたけど母さんがすごいノリノリで物件探した結果防犯も防音も困らないいいとこが見つかったわけだが、手が塞がっているとオートロックを開けるのも一苦労。
    「烏丸、買い物上手だよね。安く済んだし」
    (まぁあまり食材を買わないので平均的な値段はよくわからないけど...)
    「お前が下手くそなんだよ。高けりゃいいってもんじゃねぇ」
    「へぇ、さすが料理人」
    「適当な返事すんな」
    こうやって二人で買い物して来ただけなのになんだかすごく楽しい。これも久しぶりの感覚だな

    なんか自分の家で烏丸が料理してる光景は不思議な感じがする。
    フライパンが新品だのシンクに使用形跡がないだの色々言われたけど久しぶりにすごくお腹が空いた感覚がある。
    出された料理も最近食べた物の中で一番好みの味だった。
    「烏丸はやっぱり料理上手だね、料理うまいとモテるらしいよ」
    「...あっそ」

    「ご馳走様でした」
    「ん。」
    さっさと皿を回収して手際よく洗い物を済ませる烏丸を眺める。手伝えよと思われるかもしれないがキッチンに立った瞬間俺が何してもあいつの邪魔になるのが目に見えている。
    「....ねぇ、烏丸ってまだバイトやってるの」
    「あ?当たり前だろ、家賃も学費もタダじゃねぇんだぞ」
    「....烏丸さぁ...うちで働かない?」
    「........は?」
    「家事やってよ。ちゃんと給料もはらうし、料理にかかる材料費もこっち出すからさ。別に毎日じゃなくていいよ。泊まってもいいし、合鍵渡すし...給料もまぁ...希望額があれば聞くけど。」
    我ながらいいアイディアだ。ありがたいことにお金には困ってないし、これで烏丸が掃除洗濯料理までやってくれたらもう母さんからの電話で嘘ついて自己嫌悪する必要もないわけだ。
    それに家に帰った時におかえりが聞こえたらきっと安心するよな。それが烏丸だったらきっと毎日楽しい。…なんで楽しいのか聞かれたらちょっとわからないけど...
    「なんなら一緒に住んじゃう?烏丸は家賃払わなくていいし学費だけ考えれば良くなるよ、部屋もあとひと部屋あるし。今は月碧が泊まりにくる時用だけど」
    烏丸はびっくりして固まっちゃってるけど机の引き出しにしまっていた合鍵を取り出しておく。
    烏丸にとっても悪い話じゃないはずだ。
    あぁ、でも彼女とか作りたくなったら困るのか。
    そもそもプライベートの多くの時間俺と一緒にいるなんて嫌か。そう考えたらなんか悲しいけど
    「……わかった」
    「だよな、まぁ断られるとは...思って...え?」
    「でもまだここに住むかは決めてねぇ。」
    いつのまにか皿洗いを終えた烏丸が戻ってきて俺と向かい合って座る
    「まずは詳しく聞かせろ。それから住むかどうか決める」
    「えっ、いいの」
    「あ?そう言ってんだろ。お前がどうしても俺と同棲したいって言ったんだから責任取れよ」
    「ぁ、え...っ、う、うん...」
    今まで見たことないくらい真面目な顔をした烏丸と目が合ってしまってどうしていいのか分からなくなる。断られていつものように冗談だって笑うつもりだったのに、なんか顔が熱い。このままじゃ勘違いしてしまう。いつものように、いつものように振る舞わないと
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