黒龍十代目特攻隊長「そのお綺麗な顔で親衛隊長と寝てんだろ!」
「アァ? ぶっ殺すぞ!」
拳で殴って蹴って鉄パイプで殴って、相手が昏倒したのを見て、乾は思った。寝たってなんだ?
親衛隊長とは考えるまでもなく、九井のことだろう。寝たというのはいったいなんだ。アジトに泊るときは、乾はソファーで、九井は三つ折りのマットレスを敷いて眠る。九井の仕事が終わらぬ時は、交代することもあるが、どちらの寝心地がいいかはさほど変わらない。それはともかくオレがココと寝たからといって、なんだというのだ。
鉄パイプを放り出して、振り返ると部下が微妙な顔をしていた。
「おい、」
「はいっ」
「オレとココは寝ているように見えるのか」
「ひ、ひぃっ」
話しかけた隊員が悲鳴を上げた。他の隊員もおどおどと視線を外す。そこでようやく乾も気づいた。どうやら侮蔑の言葉らしい。
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