「母さん、悟天といつもの原っぱに行ってきます。」
「ちょっと、今日は僕も一緒に行きます。」
リュックサックに大荷物の勉強家の俺は、キャンプ用品も持っていくようで、
「にいちゃん、どうしたの?」
「原っぱ向こうの崖近くに洞窟があるから魔物の調査に行くんだよ。」
という言葉に、悟天の目が輝いている。
「悟天ちゃんは、大きい兄ちゃんと原っぱで遊ぶだよ。」
お弁当を持ってきた母さんに言う。
「えええ、ぼくもあたらしいマモノさんとあいたいなぁ〜」
俺もちょっと会いたいな〜母さん。
「お母さん、僕が2人の面倒をみますから、今日は、キャンプにしますね。」
「そうけぇ•••んじゃ、悟空さに夕飯届けさせるべ。」
「ありがとうございます。」
父さんの瞬間移動で、キャンプしなくてもって思うけど、悟天が喜んでいるからいいか。
いつもの道で、大はしゃぎの悟天を前に見ながら。
「未来の僕、いろいろ協力してもらわないと行けないと思います。」
「気にしなくてもいい。そうなる予感もする、。」
「いちばんは、悟天に危害が無いこと」「いちばんは、悟天に危害が無いこと」
2人で同時に言う言葉に笑いが出る。
「なんだかんだで、僕たち悟飯同士なんですね。」
「そうだな。」
生まれも育ちも違う世界の環境なのに、悟天のことになると波長がいつも合う。
それがこの世界でのいちばんの共通点なのかなと、俺は思っている。
原っぱに出る。
数匹のスライムをすでにお供に引き連れて、悟天は元気に走り回っている。
「少し荷物持とうか?」
「さっきもだけど、もし悟天に何かあったときには素早い対応してほしいんだよ。僕もこの位の荷物なら、平気だよ。」
「にいちゃんたち〜はやく〜〜〜」
あっという間に向こう側に走っていく悟天に2人で、苦笑いして俺は走って追い付いてつかまえる。
「つかまえた、あっちのにいちゃんが困るだろ?」
「いいよ、ここににいちゃんいるから。」
「少し休憩して、水筒だ。」
「うん。」
小休憩の間に、追い付いてきた頑張っている俺は荷物を置く。
がらん•••
「にいちゃん、なにかてつだう?」
「大丈夫、水分補給もしっかりしたしっと。ここの原っぱはスライムとホイミスライムが多くて、時々キングスライムがいる。っと。」
「うん。きょうも、いっぱいあそびとともだちつくったの」
そういえば、この前ピンク色に葉っぱが出ていたスライムに似たのがいたかな?オレンジ色もあった。
「よし、にいちゃん。がけまでいこう〜」
「よし、行こうか。」
いた話はまた後でいいかな。
そこから林に入る。
「(•••••てん••••••)」
「え?なに?」
「どうした?悟天。」
魔物たちの反応はない、遅れてきたここの俺も
「何かあった?」
と、言うだけである。
「きのせいかなあ〜」
「(ご、て••••ん)」
足元でズボンを握る
「悟天、抱っこしようか。」
「う、うん」
ちょっと震えている、悟天にしか聞こえない声?
「警戒したほうがいい、そのまま引き返したほうがいいのか。」
カサカサ
「何かいます。」
カサカサ••••
音を立てて
「ラリホーマ•••••」
ガタン、
その言葉とともに、ここの俺は倒れこんだ。
近づくと、寝ているように安らかな寝顔で、リュックサックから転がる知らない魔物も寝息を立てている。
「悟天•••」
「むにゃむにゃ」
スライムたちも転がって、ずり落ちてくホイミスライムも。
みんな同じ場所にかためると、その魔物を目にする。
「魔物?」
人の姿をしている魔人、
白髮長髪のおでこにバンダナして、瞳が赤い••••
「キサマは、魔法がかからなかったようだな。」
「俺にも、言葉がわかる。」
「私は魔物とは違う。ちょっと用事があるのは、そこの悟天だ。」
「•••••俺の弟に手を出すな!」
「勘違いするな!」
カサカサ••••
の音に、
「ピッコロさん!」
「悟飯、用事があるのは本当だ。」
「私が話をする。」
「キサマではこうなるだろうと思っていた。」
「スライムに関しての話は私のほうが••••」
「えええぃうるさい!」
「ほう、私と勝負をする気だな。」
「どっちが格上かここで決着•••」
喧嘩になりそうな間合いの取り方で、ここでドンパチしたらみんな困る。
そっと逃げるように走り出す。
「ん?にいちゃん。なんのこえ?」
「悟天、ここは危ないから、俺と原っぱに行こう。」
「うん。」
「おい、悟飯。」
「逃がさんぞ!」
「りょうほうとも、さっきのこえだよ••••」
心の中に話しかけずとも、出てくればいいのに。
と、思うだけで原っぱに走る。
「にいちゃん、おなかすいたね〜」
「そう言われると。」
「悟飯、悟天に話があるだけだ。」
「え、ピッコロさんだ。」
ピッコロさんに気づく笑顔なのに、
抱っこから降りて、見ている
「私か••••」
「こわいまものさんじゃないね。」
色白の耳も長いことに気づく
「あえて名は名乗らんが、悟天。スライムは遊びの相手じゃない。かなりの数がここの広っぱに来て、何らかの理由でキングスライムになっている。それはわかるな。」
考えながらの悟天は俺の顔を見てから相手を見て
「うん、スライムくんたちがつよくなって、がったいしたいって、みせてくれるんだよ。」
表情は緩んだようにも見える
「個体数が減少している。魔界での絶滅危惧種に認定されてしまった。」
「ん?」
リュックサックを背負っているのでガシャガシャと音を立てながら、追い付いてきたここの俺が
「繁殖過程も間に合わないくらいなんですね。こちらも、これから気をつけていかなければなりません。未来の僕、ここからは僕が話をしますから、悟天と木陰で•••ぴ、ピッコロさん。」
「下ばかり見ずに顔を上げろ。オレは話が終わるまで、同じ木陰にいる。」
「ばいばい〜」
「••••」
2人を残して木陰で休む。
近くにはスライムとホイミスライムがいる。
「どこかに行く途中だったのだろう?」
「キャンプだよ〜」
「キャンプです」
間違ってはいないな。
「スライムってそんなに少ないんですか?」
「ここ最近急激にだ。それには、別の要素も関わってきているらしいが。」
「スライムくんたおされちゃってるの?」
「そういうことにもなるか。」
寂しそうに座り込んでスライムを抱っこする悟天がいる。
「あの男は、昔からの知り合いだ。最近、スライムの他に魔物減退について調べている。」
「俺たちとは違う何かが存在している?」
悟天に目をやるとうとうと、座り込んで抱き寄せる。
「ピッコロさん、悟天は魔物使いにならないほうがいいって、思います。」
「そうだな、覚醒して真の力をとなれば、相当な修行も必要になる。悟天は力に耐えられるか、魔に飲み込まれるかのどちらかになる。」
「俺はそうならないためにも、悟天を守って行きます。」
しばらく俺もうとうとしていたようで、ホイミスライムのぷよっと触られて目を覚ます。
「お待たせ、話終わったよ。」
「おかえり、そうなんだ。」
ピッコロさんがいないから、帰ったんだな。
荷物は置いてあり隣に座る姿に、
「そういう話をしていると生き生きしてるな、楽しい話だった?」
「もちろん。お父さんの許可おりたら、その魔界に行ってみたいって思う。」
「悟天がついていくって言うと思う。」
「そこは、未来の僕にお願いする。」
「俺で大丈夫かな?」
「きっと大丈夫。」
そうなったら、
そうなったで、
2人だけになる。