雪の日ふと、普段しない小さな物音と人の気配で目を開く
見慣れない天井に一瞬飛び起きようとしたが、すぐにここは左馬刻から借りたマンションと一室だったことを思い出した。
珍しく大雪になるということだったから、左馬刻に押し込まれたのだ。
隣の寝息をたどって隣をみれば、安心して寝ている有栖川がいた。
有栖川を起こさないようにゆっくりと起き上がり、少しカーテンを開ければ予報の通りヨコハマでは珍しい大雪が振っていた。
窓から見える景色はほぼ雪で覆い尽くされており、一面銀世界となっていた。
この家の遮音度もあるのだろうが、日の出前の時間帯で大雪のためか、人通りも車の音も全く聞こえない。
まるでこの世界で二人、取り残されたかのように静かだ。
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