クレマチス ピンチです。
預かっていた花が枯れました。
「しばらく預かっていてくれ」
渡されたのはしっかり閉じた赤いつぼみをたずさえた花の鉢だった。花の名前はなんと言ったか忘れてしまったな、なんてらしくないことを言ったジャミルは「世話を頼みたい」と頼んできた。
「どうした、呆けた顔をして」
「いや」
ちょっと出掛けてくる、なんてまるで買い物に行くような調子で告げられたのは一ヶ月ほどの旅行計画で、全然ちょっとではなかった。ジャミルはこんなに気が長いタイプだっただろうか。一ヶ月どころか一日だって長いというタイプだと思っていたのに。離れることの寂しさに少し拗ねてみれば「旅行じゃなくて研修な」と呆れた表情が返ってくる。
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