クダリには毎朝のルーティン--というよりかは習性と言った方が良いかもしれない--が存在する。
それは目覚まし時計を止めて、遮光カーテンを開け、隣で涎を垂らしながら幸せそうな顔で寝ている片割れを起こすことだ。
側頭部がガンガンと痛むけたたましい騒音にも気付かずに、ぷぅぷぅと鼻息を鳴らしているノボリ。そんか平和そうな寝顔を見て、このまま寝かせておきたい気持ちもあるのだが、生憎今日は出勤日。寝坊したのでは、サブウェイマスターとしての面子が保てない。
「あのね、朝だよ、ノボリ」
首元まで掛かっていた毛布を剥ぎ取り、無理やり上半身を起こさせる。それでもまだ目を覚まさない強情な兄。しかしクダリはお構いなしに寝巻きの上半分を、半ば無理やりに脱がせ始めた。
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