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    miyomimin

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    miyomimin

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    金○ムネタ。タイトルそのまんま。

    【忘羨】座学忘羨がラッコ鍋食べたら完全におっぱじめてたよねって話【座学if】南方から訪れた商人はそれが滋養にいいと声高に説明した。曰く、それを食べればたちまち病気も良くなり怪我もすぐに治るとの事。そんな眉唾ものの話を意気揚々と話していたのだ。
    魏嬰はそんな商人の話を信じてはいなかった。
    往々にしてこういうものは物事を大袈裟に捉えているに過ぎない。それっぽい言葉を並べて、それっぽい効能をさも何よりも素晴らしいことのように話す。それが巧みであるのが商人というものなのだ。だから、対して気になどしていなかった。だが、一目見た時にそれが気になったのは本当の事だった。
    分厚く切り取られたそれは、余程新鮮なのか赤みが強い。筋は少しばかり目立つが、調理の際に切り取ればまぁ問題は無いだろう。こんがりと焼き目をつけて食べるのも美味そうだが、醤油と唐辛子と一緒に炒めるのも美味そうだ。野菜と一緒に煮込むのも美味いかもしれない。値段は少々張るが、その肉の質を思えば買って損はないように見える。なにより、商人の言葉が気になって仕方がなかったのだ。

    『この肉はね、夫婦円満の秘薬って言われてるんですよ!新婚夫婦への贈り物に選ばれることだってあるんですから!』

    そう言われた言葉が、魏嬰の中に悪戯な気持ちを植え付けてしまったのだ。





    あれ?
    なんだか、頭がぼーっとする。ここはどこで、自分は何をしているだっけ。考えようと思うのに、どうにも頭の中がふわふわしていて考えがまとまらない。思考が綿毛のようにあっちこっちに飛んでいってしまったかのようにふわふわしていてまとまりがない。ふわふわして、ぼーっとして、そしてなんだか熱い。ああ、そうだ。熱いんだ。体の奥底からぼかぼかと熱が湧き上がってきて、皮膚の表面からぷつぷつと汗が浮かび上がっている。全身が茹だっている。そう表現するのが正しいように思えた。熱い。すごく熱い。熱いから……どうしたんだっけ。考えようとするのに、また思考がふわふわと浮ついてしまった。

    「うっ……あっ……」

    どこからか甘い声が聞こえる。鼻にかかったような声は少しだけ甲高くて、だけど何故か聞き覚えがある声だった。この声はどこから聞こえてくるのだろうか。上か?下か?それとも空からか。考えても、考えても、答えは分からない。考えるだけの思考が自分の中には無いように思えた。

    ぐちっと湿った音が聞こえた。聞こえた音は耳元で聞こえたようで、それが何なのか考えとしたところで、ぼやけた視界の中に藍湛が現れた。
    どうしてここに藍湛がいるんだろう。そう考えた時には藍湛の頭は視界からきえて、今度は首のあたりでぐちっと湿った音が聞こえた。それと同時にぬるりとした感触が首筋を襲う。ぬるぬるとしたものが首筋を履い回って時々吸い付かれるような感触がした。咄嗟に食べられている、と思った。生暖かく肉厚の舌が皮膚を撫でる感触と、時々かちりと触れる硬い歯の感触。それはまさに食べられている、と思える感覚だった。食べられている?違う。食べたんだ。そう、食べたんだ。何を。肉を。

    南方の商人が売りつけていた肉を、夫婦円満の秘訣だと言うから真面目なあいつをからかうのにぴったりだと思ってお小遣いをはたいて買った。
    滋養にいいとか健康になるとか必殺技を使えるようになるとか。そんな調子のいいことを並べてあいつに食べさせようと思った。食べた後に、これは夫婦円満の為の肉だぞ。夫婦でもないのに食べちゃってどうしような、なんてからかってやろうと思ったのだ。
    そう思ったのに。
    調理初めは良かった。下処理をして肉を煮詰め初めるまでは普通だった。だが、そこからがおかしかった。獣肉が煮える独特の匂いが狭い部屋の中に充満し始めた頃、何かおかしいと気がついた。
    体が熱くなって、頭の中がふわふわとしだした。衣を着ているのが煩わしく感じて、袂を弛めたけれどそれでも全身が火照るよつに熱かった。それは同じものを食べている藍湛も同じようだった。額にびっしり汗を浮かべるぐらい熱そうにしているのに、それでも何かを耐えるように袂を緩めもせずに膝の上で拳を作っている。それがどこからどうなったかは、正直あまり覚えていない。ただ、どちらともなく伸ばした手がお互いの衣を剥ぎ取ったことだけははっきりと覚えていた。

    「あっ……!うっ、あっ……!」

    少しはっきりとした思考が先程から聞こえる鼻にかかった甘い声が自分のものだと言うことを理解させる。気持ちいい。頭がとろけるぐらいすごく気持ちがいい。藍湛に触られる度に甘く痺れるような感覚がして、たまらなく気持ちが良い。もっと触って欲しい。浅い所も深い所も。藍湛の手のひらが撫でるように皮膚の上を行き来する度に頭からつま先まで電流が流れたように気持ちが良かった。着ているのか着ていないのか分からない程に四肢に絡みつく衣が煩わしい。けど、それを脱ぎ捨てるだけの余裕がどちらにも無かった。

    「うっ……あっ、んぁ……!」

    湧き上がる欲の感覚。収まらない下半身の熱。原因はもう分かっている。きっかけを考えれば簡単なことだった。
    まったく、夫婦円満とはよく言ったものだ。このようなものを食べて『夫婦生活』をすれば、さぞ夫婦仲も円満になるだろう。

    体をよじる。指を絡ませる。荒い呼吸はどちらのものか判別つかないぐらいに耳を擽って、もっともっとと貪欲に欲しがってしまった。

    清廉潔白とは一体誰が言ったんだろうな。そんなの嘘っぱちじゃないか。伸し掛る体。赤く火照った藍湛の顔。その顔に面白いぐらいに滲む強い欲望の色。これを見て、清廉潔白だなんて誰が言えるって言うんだ。

    「らん、じゃん……」

    上手く回らない舌で名前を呼ぶ。熱を恋しがる体は少しでも離れることを拒んだが、それでもこれだけは言いたかった。

    「おまえって、ほん、とうに、面白い男だよ……」

    その顔、誰にも見せられないだろ?

    からかいを含めてそう言葉をにした瞬間、藍湛は首筋に思い切り噛み付いた。

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    miyomimin

    DOODLEA○Fの魔法使いと使い魔AU。
    魏嬰が消えたあとの藍湛と使い魔たちのあれそれ。
    私の鏡。使い魔は鏡だ。
    そう教えてくれたのは私の叔父だった。

    使い魔は鏡だ。己の内面を映し出し、己の内面によってその性質がきまる。故に、使い魔を制御するには己の内面を鍛える必要がある。利己的にならず、奢らず、常に謙虚な姿勢を保ち、礼儀正しく清く生きる。それこそが、優秀な魔法使いと優秀な使い魔なのだ、と。

    その言葉を思い出しながら私は自分の使い魔を見下ろした。
    床にぺたりと座り込み、ただじっと目の前で眠り続けている魏無羨の使い魔を眺めている私の使い魔。
    幼くまろみのある頬は年相応の容姿をしているのに、何の感情も見せない瞳が大人びてように見える。そのちぐはぐな使い魔が見つめる先には小さな寝台がひとつある。寝台の上を埋め尽くすかのように色とりどりの花が並べられ、その中で丸まって眠る魏無羨の使い魔が穏やかな寝息を立てていた。眠る使い魔はもう数年、目を覚ましていない。彼のマスターである魏無羨がいなくなった日から、彼の使い魔はずっと眠り続けているのだ。己を封印したのだろうと、誰かが言っていた。己のマスター以外には従わない。己のマスターにのみ従属する。その感情の表れが彼の使い魔を眠りの世界に誘ったのだ。
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