【忘羨】座学忘羨がラッコ鍋食べたら完全におっぱじめてたよねって話【座学if】南方から訪れた商人はそれが滋養にいいと声高に説明した。曰く、それを食べればたちまち病気も良くなり怪我もすぐに治るとの事。そんな眉唾ものの話を意気揚々と話していたのだ。
魏嬰はそんな商人の話を信じてはいなかった。
往々にしてこういうものは物事を大袈裟に捉えているに過ぎない。それっぽい言葉を並べて、それっぽい効能をさも何よりも素晴らしいことのように話す。それが巧みであるのが商人というものなのだ。だから、対して気になどしていなかった。だが、一目見た時にそれが気になったのは本当の事だった。
分厚く切り取られたそれは、余程新鮮なのか赤みが強い。筋は少しばかり目立つが、調理の際に切り取ればまぁ問題は無いだろう。こんがりと焼き目をつけて食べるのも美味そうだが、醤油と唐辛子と一緒に炒めるのも美味そうだ。野菜と一緒に煮込むのも美味いかもしれない。値段は少々張るが、その肉の質を思えば買って損はないように見える。なにより、商人の言葉が気になって仕方がなかったのだ。
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