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    miyomimin

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    miyomimin

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    連れ帰りif。含老。
    連れ帰って結婚した話。とりあえず夫婦しようとするけどお互い嫌われてると思ってるので上手くいかない話。
    結構途中。シリアスしようと思ったらなんかラブコメっぽくなってしまった。

    永遠に共に夫婦の証明。

    何を持って夫婦とするのか。どんな関係を夫婦と呼ぶのか。それを考えるのは実に簡単な事だ。
    伴侶を支えること。苦楽を共にすること。
    実に分かりやすい。だが、それ以上に分かりやすく夫婦であることを証明する方法がたったひとつあるとしたら。






    「俺を抱けよ」

    そう言った言葉が静かな室内に重苦しく響いた。言葉は実に明瞭。なんの飾り気もない。ただありのまま。思った事を声に出しただけのように口にされた言葉に、藍忘機は固く唇を引き結ぶ事しか出来なかった。

    婚礼を果たしたのはつい数ヶ月前の事だ。

    藍家の長老達の反対を押し切り、連れ帰った魏無羨を伴侶とする事を決めたのはほんの半年前のこと。それから、半ば強引な形で婚礼の義を迎えたのはつい数ヶ月前の事だった。参列する客人はいない。結納も豪華な食事や装飾も用意されることの無い婚礼は、実に質素で誰にも祝福されない無様ものであった。
    せめてもの救いは揃いの赤い衣が用意されていたことだろう。申し訳程度に用意された衣に袖を通し、向かい合った伴侶となる男は相変わらず感情の読めない顔でただこちらをじっと見ているだけだった。

    姑蘇へ帰ろうと言ったのはこの男だ。

    既に仙門を終われた身の男を、この男は受け入れると言った。何も苦労はさせない。誰に文句も言わせない。全ての問題を全て自分が引き受ける。そう言葉にした男は、その真っ白な衣が汚れることも厭わずに、膝をついて懇願するかのようにそう告げた。
    君子たる男がなんたる有様だ。立場も家も全て捨てられる訳が無行ことぐらい己自身が一番分かっているはずだと言うのに、この男はそれを成し遂げると図々しくも言葉にしたのだ。魏無羨を迎え入れることがどれだけ無謀であるかも、温家の人間を保護することがどれだけ危険であるかも分かっているはずだというのに。それでも全てを受け入れると口にしたのだ。
    最初は怒りを通り越して飽きれを感じた。いくら口ではそう言おうとも実際に行動することなど不可能に近い。そんなことは、魏無羨だって分かっていたことだった。
    だが、同時に面白いとも感じた。
    堅物だとばかり思い込んでいた男は、存外に情熱的で、以外に酔狂な男であることをその時初めて知ったからだ。

    なんて馬鹿な男だ。真面目で優等生なくせに馬鹿で頑固だなんで!
    気がつけば、魏無羨は藍忘機の言葉を受け入れていた。

    それがまさか婚礼することを意味しているとは思いもしていなかったけれども。

    その時のことを思い出して、微かに笑みを浮かべる。今にして思えば実によくできた作戦であるとさすがの魏無羨も気がついたからだ。
    結婚してしまえばそう易々と魏無羨を害すことは出来ない。温家のものも実質、藍家の保護下となればそう簡単に手出しは出来ないだろう。例えお互いにそういう気持ちがなかったとしても、婚姻を結んでいるということはそれだけの効果があるという事なのだ。どこぞの男が自分の娘を地主やお偉いさんに嫁に出す話がよくある訳だと変に納得してしまった。婚姻にはそれだけの価値があるという事なのだ。

    だが、それで本当にいいのだろうか。

    形式上夫婦にはなったが夫婦としての実際の役割を果たしたことは一度もなかった。男女の夫婦であれば後継を産めばそれも果たされることだろう。だが、魏無羨と藍忘機はの男同士の夫婦だ。男同士では子は成せない。そんな状態で、どう夫婦であることを証明すればいいと言うのか。

    そんなことを頭の中でぐるぐると考え、段々イライラとしてきた魏無羨が辿り着いた答えが、先程の言葉になるのだ。

    「なぁ、早く抱けよ。何を躊躇する必要があるって言うんだ。お前は俺の道侶殿なんだろ?だったら道侶として俺を抱くべきだろ」

    明け透けに言われた言葉に藍忘機が動きを止める。そんなことを言われるとは思ってもみなかったのだろう。予想外の言葉に困惑しているかのようにも見えた。だが、冗談で言っている訳では無い。夫婦の定義を証明するのならこれしかないと魏無羨は大真面目にそう考えたのだ。

    子も産めない。立場的に伴侶の勤めも果たせない。ならば、せめて、夫婦の証明ぐらいはしなければならないのでは無いのか。むしろ、それこそが自分の役目だったのではと密かに思いもしたのだ。

    いくら堅物と言えど藍忘機も所詮は男。
    そういった事に興味がなかったとしても生理現象には抗えないだろう。だからといって適当な女を相手にすることもこの男には無理な話だ。どこぞの宗主は誰彼構わず種を撒き散らしていると言うが、この男がそんなことをできるわけが無い。ならばどう処理をする。同じ男であるからこそわかるが、男のそれは衝動的な物で理性で封じ込めるものではない。だがこの男は魏無羨と婚礼を結んでなら一度もそれらしい衝動を見せたことがないのだ。
    寝台は別途言えど暮らす家は一緒。夜狩りで出かける事はあっても、元来の性格なのか部屋の中で過ごすことの多い男は自慰行為と言ったものを見せたことが無い。風呂や厠が特別長いといったこともないし、なによりそのための書物が藍忘機の私室にあるわけでもない。令泉での修行がやたら長引くことはあるが、あんな寒い所で男の象徴が勃つとは到底思えない。ならばどうやって。

    そうして辿り着いた答えが、これであったのだ。

    「さぁほら抱けって……。俺がお前を慰めてやるからさ」

    少しはだけさせた衣は宵闇には少し寒い。上着を一枚二枚と投げ捨てた状態はどうにもすーすーしていて変な感覚もした。
    腰は曲線を強調するかのようにくねらせてみせる。胸元は肌を見せつけつつも肝心のところは見えない程度に収めた。春本で学んだ知識が男である自分でも通用するかは分からなかったが、まぁなんとかなるだろう。これで藍忘機が落ちれば自分が優位にたって攻め立てればいいし、もしダメであればからかって遊ぶ程度には楽しめるだろう。要はこの男に一泡吹かせさいすればこちらはそれでいいのだ。

    もはや目的が何かもあやふやにはなっていたが、今はそんなことどうでも良かった。ただ目の前で固まる男をどうしてやるか。そんな事ばかりを考えていた。

    「なぁ、ほら、触ってみろよ。他人の肌なんか触った事ないだろ?自慢じゃないが俺の肌はそれなりにきめ細かいんだ。生娘柔らかでなめらかでは無いかもしれないが、それなりに弾力はあるんだ」

    固まる藍忘機の手を掴み、その手を自身の胸元へと誘導した。はだけた胸元に無理やりに押し込むように藍忘機を忍ばせて、わざとらしく擦り付けるように手のひらを動かした。もちろん、わざと胸の突起にも触れさせてやった。
    ぴたりと石像のように固まった藍忘機が瞬きすら忘れたようにこちらを見下ろしてくるのは実に愉快だった。

    「ああ、お前の手は大きいな。大きくてすごくあったかい。……なぁお前知識がないから不安なのか?それなら安心してくれよ。俺はあの夷陵老祖だぞ。男は抱いたことはないが、女ならそれなりに相手をした事がある」

    もちろんそれは嘘だが。

    「だから、お前は…… なっ!」

    全てを言い終わる前に藍忘機は魏無羨の体を寝台の上に押し倒してしまった。
    ぎしりと激しく軋む寝台。強い力で押さえつけられた体は軋み、骨と骨がぶつかる嫌な音すらした。
    目の前で魏無羨を押し倒してきた藍忘機は相変わらず本音の部分は分からないが、怒りの感情をその顔に滲ませていることだけは分かった。

    「魏嬰……!君は……君は……!」

    ギリギリと押さえつけられた手首が痛む。今の魏無羨では藍忘機を押し返すことなど到底不可能だ。だが、目の前にいる藍忘機は力を緩める素振りすら見せない。力付くで押さえつけられたからだ。背中に感じる生々しい寝台の感触。その全てが色濃く「性」の匂わせていた。

    そう考えた途端、急に怖くなってしまった。

    煽ったのはこちらと言えど魏無羨には性経験などない。いくらイキり散らしていようとそういう行為をしたこともない。それなのに乗りあがった藍忘機はまるで力任せに屈服させようとしているかのようにこちらを睨みつけている。それはあまりにも。

    体が震える。
    男が男と体を交えるという行為はあまりも未知すぎた。それなのに、それを、いきなり推し進める事はあまりにも恐ろしたかった。

    「魏嬰……」

    先程の感情を潜めたかのような声で名前を呼ばれ、押さえつけられていた体が離された。
    するりと体を話した藍忘機は相変わらず感情が読めない顔をしていたが、どこか罪悪感を抱えているかのような空気を纏っていた。

    「ちがっ……!」

    違うんだ。これは本当に違うんだ。
    だってこうしなければ、お前の伴侶でいる資格が無くなってしまうではないか。
    政略上で結ばれた関係。だが、それではあまりに藍忘機にとって不利益でしかない。全てをなくした魏無羨が差し出せるものなど、たったひとつしかないと言うのに。

    「魏嬰……すまない」

    そう言って静かに謝る藍忘機に、魏無羨はどうすればいいか分からなかった。

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    miyomimin

    DOODLEA○Fの魔法使いと使い魔AU。
    魏嬰が消えたあとの藍湛と使い魔たちのあれそれ。
    私の鏡。使い魔は鏡だ。
    そう教えてくれたのは私の叔父だった。

    使い魔は鏡だ。己の内面を映し出し、己の内面によってその性質がきまる。故に、使い魔を制御するには己の内面を鍛える必要がある。利己的にならず、奢らず、常に謙虚な姿勢を保ち、礼儀正しく清く生きる。それこそが、優秀な魔法使いと優秀な使い魔なのだ、と。

    その言葉を思い出しながら私は自分の使い魔を見下ろした。
    床にぺたりと座り込み、ただじっと目の前で眠り続けている魏無羨の使い魔を眺めている私の使い魔。
    幼くまろみのある頬は年相応の容姿をしているのに、何の感情も見せない瞳が大人びてように見える。そのちぐはぐな使い魔が見つめる先には小さな寝台がひとつある。寝台の上を埋め尽くすかのように色とりどりの花が並べられ、その中で丸まって眠る魏無羨の使い魔が穏やかな寝息を立てていた。眠る使い魔はもう数年、目を覚ましていない。彼のマスターである魏無羨がいなくなった日から、彼の使い魔はずっと眠り続けているのだ。己を封印したのだろうと、誰かが言っていた。己のマスター以外には従わない。己のマスターにのみ従属する。その感情の表れが彼の使い魔を眠りの世界に誘ったのだ。
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