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    miyomimin

    @miyomimin

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    miyomimin

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    A○Fの魔法使いと使い魔AU。
    魏嬰が消えたあとの藍湛と使い魔たちのあれそれ。

    私の鏡。使い魔は鏡だ。
    そう教えてくれたのは私の叔父だった。

    使い魔は鏡だ。己の内面を映し出し、己の内面によってその性質がきまる。故に、使い魔を制御するには己の内面を鍛える必要がある。利己的にならず、奢らず、常に謙虚な姿勢を保ち、礼儀正しく清く生きる。それこそが、優秀な魔法使いと優秀な使い魔なのだ、と。

    その言葉を思い出しながら私は自分の使い魔を見下ろした。
    床にぺたりと座り込み、ただじっと目の前で眠り続けている魏無羨の使い魔を眺めている私の使い魔。
    幼くまろみのある頬は年相応の容姿をしているのに、何の感情も見せない瞳が大人びてように見える。そのちぐはぐな使い魔が見つめる先には小さな寝台がひとつある。寝台の上を埋め尽くすかのように色とりどりの花が並べられ、その中で丸まって眠る魏無羨の使い魔が穏やかな寝息を立てていた。眠る使い魔はもう数年、目を覚ましていない。彼のマスターである魏無羨がいなくなった日から、彼の使い魔はずっと眠り続けているのだ。己を封印したのだろうと、誰かが言っていた。己のマスター以外には従わない。己のマスターにのみ従属する。その感情の表れが彼の使い魔を眠りの世界に誘ったのだ。

    私の使い魔はその眠る使い魔が目覚めるのを待っているのだ。夜となく外に出かけては綺麗な花を見つけ、それを彼の寝台の上にその並べては眠る使い魔の目覚めを待ち侘びるように寝台の横に座り込んでいる。何を話しかけるでもない。ただじっと、その閉じられた瞳が再び開く日をいまかいまかと待ち望んでいるのだ。

    「マスター、私はどうすれば良かったのでしょうか」

    ぽつりと呟かれた言葉が虚しく部屋の中に響いた。感情の分からない表情で寂しそうにそう呟かれた言葉は私の使い魔が発したものだった。その言葉に私はなんと言葉を返せばいいのかが分からなかった。

    魏無羨とは喧嘩ばかりしていた。いたずらばかりをする彼を拒絶するかのような言葉を放ち、軽薄な行動を咎めるような言葉を投げかけたこともあった。に注意したこともあった。そのどれもが強く、相手を拒絶するかのようなものであったのに、なのに、彼はそんな私の言葉を楽しそうに笑って聞いていた。
    そんな彼に私は何が出来たと言うのだろうか。

    「分からない」

    私にも分からない。どうすれば彼が消えずに済んだのか、どうすればこの幼い使い魔を眠らせずに済んだのか。そのひとつでさえも私には分からない。
    私の言葉を聞いた使い魔はがっかりしたように視線を床へと向けると、眠る少年の手に己の手を重ねた。そうして、しっかりと握りしめると額を合わせるように寝台の上に頭を乗せて目を閉じた。

    「……もっと、素直になればよかった」

    己の使い魔からぽつりと吐き出された言葉が私の言いたかった言葉なのだと気付いた時、私は酷く泣き出したい気持ちになった。


    _____

    魏嬰はどの世界線でも1回は藍湛の前から消えるんだと思う。

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    miyomimin

    DOODLEA○Fの魔法使いと使い魔AU。
    魏嬰が消えたあとの藍湛と使い魔たちのあれそれ。
    私の鏡。使い魔は鏡だ。
    そう教えてくれたのは私の叔父だった。

    使い魔は鏡だ。己の内面を映し出し、己の内面によってその性質がきまる。故に、使い魔を制御するには己の内面を鍛える必要がある。利己的にならず、奢らず、常に謙虚な姿勢を保ち、礼儀正しく清く生きる。それこそが、優秀な魔法使いと優秀な使い魔なのだ、と。

    その言葉を思い出しながら私は自分の使い魔を見下ろした。
    床にぺたりと座り込み、ただじっと目の前で眠り続けている魏無羨の使い魔を眺めている私の使い魔。
    幼くまろみのある頬は年相応の容姿をしているのに、何の感情も見せない瞳が大人びてように見える。そのちぐはぐな使い魔が見つめる先には小さな寝台がひとつある。寝台の上を埋め尽くすかのように色とりどりの花が並べられ、その中で丸まって眠る魏無羨の使い魔が穏やかな寝息を立てていた。眠る使い魔はもう数年、目を覚ましていない。彼のマスターである魏無羨がいなくなった日から、彼の使い魔はずっと眠り続けているのだ。己を封印したのだろうと、誰かが言っていた。己のマスター以外には従わない。己のマスターにのみ従属する。その感情の表れが彼の使い魔を眠りの世界に誘ったのだ。
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