お見舞いネフィリム まさか見舞いに来るとは思わなかった。
母親から聞いた話によると、バーガー店に現れた全裸男は、天使と人間の子——ネフィリムらしい。
ネフィリムが持つ不思議な力を巡る争いに俺は巻き込まれたらしく、短髪黒髪の女性……ではなく「天使」に腹をグサリと刺され、病院に運ばれることとなった。
幸い命に別状は無かったが、緊急手術を受け、今は退屈な入院生活を送っている。
当初は学校の友人やバーガー店のバイト仲間など、入れ代わり立ち代わり、俺の様子を見に来てくれていたが、少し落ち着いたようだった。
病院で出来ることといえば、リハビリの一環として、まだジクジクと痛む腹を抱えながら歩かされるくらいで、一日三回の病院食が唯一の楽しみになってきているほど、俺の入院生活はひどく退屈していた。
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