「アル、まだ寝ないの?」
シャワーを終えたアーノルドが、隣に腰掛けながら問いかけてきた。三十分もしないうちに日付が変わろうとしている。気が付かなかった。論文を読むのに熱中していたようだ。
「先に寝ていてください。キリのいいところで切り上げますので」
ダブレットをスクロールする。後数ページで次のセクションに変わるようだ。これなら読むのに然程時間はかかるまい。そう考えていると、不意に腕に柔らかい感触。アーノルドが、僕の左腕を抱きかかえている。ぎゅう、っと。驚きで、タブレットが手から落ちる。落下先がソファの上でよかった。
「アアアアアアア、アーノルド!!また当たってますけど!?」
「うん」
「うん、じゃないです!!誘ってるんですか!?」
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