嵐 アソーカがお手洗いに行って戻ってきたほんの数分の間に、ボとディンの機嫌は急降下していた。ルークは二人の傍で苦笑している。グローグーだけが先程と変わらずディンの胸の中に全身を預けて眠り続けていた。子どもはショッピングモールでの買い物ですっかり疲れてしまったようだ。
「何があったの?」アソーカは半笑いしながら、三人を見下ろした。
「別に何も」ボは素っ気なく答えた。
彼女がこう答える時、何もなかったことは一度もない。案の定ディンが何を言ってるんだとでも咎めるような目で彼女をジッと見つめた。子どもの高い体温と重みで疲れ切って苛ついているディンの代わりに、ルークはさっとグローグーを引き受けた。ディンのシャツの肩部分にグローグーの涎の跡ができていた。
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