For your eyes only 朝、チュンチュンと鳥の囀りで目が覚めるとしっかり抱き込んで眠ったはずの男が、すっかりと姿を消していた。
せっかくの休診日なのに、と
不満げにぽすぽす、とベッドを確かめると
相応にひんやりとしていて、
こりゃあ随分と寝過ごしてしまったなと、四方八方に跳ねる髪を振ってのっそりと立ち上がる。
冬眠明けのクマみてえと散々揶揄われたけれど、笑う顔が可愛かったのでつい許してしまった。あいつ三十路を超えて何年も経つのに可愛いなんて、もうこれからもずっと可愛いんじゃないか。
昔は不眠の気があったおれは、眠りが浅く、
人の気配ですぐに目が覚めていたというのに、鈍ったのか相手の気配に慣れたのか、どちらにせよあいつのせいだ。
カーテンを開けると日はすっかり高くなっていて、陽の光に些か眠りを貪りすぎた体が、
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