天使「はぁ……。」
カーテンから漏れ出る光と隙間から流れてきたそよ風で目を覚ます。布団の中でさえ冷えていて動くのが億劫になってしまう。一息ついてベッドから上半身を起こす。どうも頭がうまく働かない。脳みそが深刻なバグを起こしているように、とてつもなく大きい質量を持ったナニカが頭を締め付けるように苦しい。とりあえずスマホを手に取り、時間を見ると昼過ぎになっていた。
無気力。虚無感。倦怠感。これらの言葉はどれも僕の体に当てはまるようで微妙にズレている。今の僕には、かつてあった大切なナニカが欠けていた。心の中が空っぽでどんよりとした空気が胸を詰まらせるような憂鬱な気分が数ヶ月は続いていた。ナニカ。大切なナニカ……。締め切ったカーテン、カップラーメンやペットボトルのゴミ、何回涙を拭いたかわからないティッシュ、幸せそうに映る僕と綺麗で美しいナニカ…。
1266