ありがとう。すうすうー…、
穏やかな息する音が耳にしながら目覚めた。
腕の中で彼女の体温が伝わって来て、安心感で胸を満たす。
さっき見た悪い夢のせいか今目の前あるこの光景が少し、現実じゃないような気がした。
それでも彼女の息をする音も伝わってくる彼女の体温も、全てがとても愛おしく感じる。この気持ちが何よりも現実だった。
「ん…」
「悪い。起こしました…」
「いいえ…」
「レーナ。」
「どうしました…」
「好きだ。」
さっきまでは完全に目を開ききってない彼女は今度は目を大きくしてこちらを見た。その後は少し目を逸して少し照れくさそうに微笑んで私も好きですと応えた。
とても愛らしい。
「いきなりどうしたんですか…」
「いや。少し、昔の夢見てました。」
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