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    七海こいと

    彼と私の大切な思い出の保管庫
    所謂自己投影夢と言うものですが
    本気で彼に恋をして愛しています

    〝fgoの少年悪漢王〟
    彼に好意を抱いておられる方は
    お引き取りいただくことを推奨します

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    七海こいと

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    片思いだったあなたへ、の少し前
    彼と、彼の世話焼きな友人の話

    愛し君へ 「ビリーお前、マスターのこと好きだろ」
     
     そう藪から棒に、友人に問われる。
    正直、面食らった。
    僕はちゃんと隠せている、と言う自負があったから。

     「どうしてそう思うのさ」

     眉根ひとつ動かすことなく、率直な気持ちを、そのまま問うてみる。
    隠せていなかったにしても、一体どこで自分の気持ちが露呈するようなヘマをしたのか、正直見当もつかない。

     「いつも目で追ってる」
     「それ、カマかけのつもりかい?」

     ロビンが、こういう時にカマかけをするような奴ではないことは、十分に分かっているつもりだ。
    それを分かっていて、敢えてこう返したのは、僕なりのせめてもの最後の足掻きだったのかもしれない。

     「これはカマかけじゃない、分かってんだろ?」
     なんて察しが悪いんだ、とでも言わんばかりの顔をしている。

     「お前がマスターの事が好きで、それはダメだとか、そういう下らない事を俺は言いたい訳じゃない」
     「じゃあ、どういうつもりなのさ?」

     この問いは、彼の最初の問いかけに対して、安易に肯定している事にもなるが、今はロビンの真意の方が気になる。

     「あんまりうだうだしてっと、誰かに取られても知らねーぞ」

     その一言を聞いた瞬間、今まで感じたことの無い、焦りに襲われるような心地がした。
     わざわざ僕にそう言うという事は、その<誰か>とは明確な<誰か>を指しているのか?もしかして、目の前の友人がその<誰か>なのか?
     表情には出ていないとは思うが、情けなくなるほど、その一言に動揺する自分が居た。
     
     「それって、誰かがマスターに好意を寄せてるって事なの?」
     「いや、それは知らん」

     不安の言葉に対し、即座にそう返される。
     声色や表情から察するに、彼自身が当事者な訳でも無さそうだ。一先ず気持ちを落ち着かせる。

     「が、他の奴が気付いてるかは知らんが、俺の目から見たら、お前はどうもマスターを気に掛け過ぎだ」
     一サーヴァントとして、じゃなくな、と付け足される。

     「俺が気付いてるんだ、他の奴が気付いてても不思議じゃない。そうなるとマスターを意識し始めるやつも出てくるだろうし、元々好意を抱いてる奴が居るなら、具体的に動き出さないとも限らない。その可能性が頭にあるのかどうかを確認…と言うか忠告しておこうと思ってな。一友人としてのお節介とでも思ってくれ」

     そう言うと、「まぁ、どうするのかはお前次第だ」と最後に一言だけ残して、立ち去ってしまった。

     残された僕は一人考える。

     僕は、あくまでもサーヴァントだ。マスターを護る事が最優先で、いざとなったらマスターの盾となり、捨て駒にならなければいけないもの、と言っても良い。
    そんな僕が、マスターと特別な仲になるなんて、酷く無責任だと思う。…アウトローが責任だなんだと考えるのは、自分でも滑稽だと思うが。
    だからこそ、ずっと隠しておくつもりだったんだ。
    でも、それは存外呆気なく、マスター本人以外にバレてしまっていた。
    僕は、自分で思っていたより、隠すのが得意ではないらしい。

     ロビンの言葉が反芻する。そして、自分自身に、今一度問いを投げかけてみる。
     万が一、僕以外の他の誰かと、マスターが結ばれた時、心から祝福出来るのだろうか。そうなった時、僕は後悔しないのだろうか。本当に、このまま隠しておいていいのだろうか。

     そこまで考えて、自ずと自分の心は道を決めた。

     思いの丈を伝えよう、例え振られたとしても、それはそれで構わない。
    せっかく、ある意味二度目の人生を歩んでるんだ、どうせ何も残らないのなら、後悔はしたくない。
     何より勝ち目のない勝負にも、僕は生前から勝ってきたし、負けるなら、それはそれでいっそ面白いじゃないか。

     「恋って、こんな感情だったかなぁ」

     ふと漏れた一言は、僕だけが居る空間に響き、僕だけの耳に届き、改めて自分の感情を自覚させるように、僕の脳裏に響いた。
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