プレゼントは赤いリボンと共に 麻里が思い出したように「あ、そうだ」と言ったのは、兄妹二人での和やかな夕食の時だった。
「お兄ちゃん、今度絵梨佳ちゃんと429に行くから付き合ってほしいんだけど」
箸で放り込んだばかりの白米をよくかみ、ごくりと飲み込んで暁人は口を開く。
「なんだよ、荷物持ちがいるのか?」
「もー、ちがうよ」
「じゃあ買ってほしいものでもあるとか」
「意地悪! まぁ、スイーツぐらいはおごってほしいかもだけど」
「やっぱりな。そんな事だろうと思ったよ」
とは言ったものの別に女子高生たちに付き合わないというわけではない。ただ、そんな風にお互い軽口をたたけるのが嬉しくてついからかってしまう。それはもちろん麻里も同じで、二人の表情は柔らかなままだ。
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