春の水晶にヴィオレットは濡れてミモーザの花が咲いたよ。
白い白い花が咲いたよ。
「綺麗な歌だね。のんびりしてて、昼寝しながら聞きたい感じ。でもミモーザって黄色じゃない?白いのもあるの?」
「おや、そうだったかな。賢者様の教えてくださった歌と混ざってしまったようだ。ミモーザは黄色だよ、クロエ」
時計の針も仕事を忘れて、白蝶貝の盤面でうたた寝するような昼下がり。
きぃんと澄んだ鉱石の、冬の空にはお別れをして、甘やかな木苺の春風と三拍子のステップを踏むころ。
ラスティカとクロエは森で遊んでいた。
寝不足のクロエは陽だまりの温もりに包まれ、船を漕いでいる。
「ふわぁ……いつの間にかすっかり春になっちゃった。俺、そんなに出てなかったんだ」
「どうだろう?僕は今朝眠っていて、ムルに起こされた時にはもう春だったよ」
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