祝福のスパイス「一旦は軍に戻るんだって?」
残念だな、と声をかけてきたのは渦中の桜備で、灯城はつい眉を下げてしまった。
祝福のスパイス
急な復活に喜ぶままでいられないのは大人の常だろう。晴天の下、各組織のリーダーたちの話し合いを終えた彼が、真っ先に声をかけてくれたことについ眉が下がる。
「先のことはゆっくり考えます、二階級特進は有効みたいなので」
確かに、と笑った桜備は、右手を差し出してくれる。
「火縄とは勿論だけど、俺ともこれから宜しく」
握手は力強く、笑顔には屈託が無い。良い人だ、と心から思う。火縄がこの人に出会えて良かった、とはそれ以上に。
「……じゃあ、一つプライベートでお願いがあるんですけど」
それでも、このくらいはしても良いだろうか、と思って灯城が口にした言葉に、相手はびくりと肩を跳ねさせた。次の言葉を待っている真剣な顔を見ながら、たっぷり5秒はためてやったのだけれど。
「いい子いたら、紹介してくれませんか?」
え、と拍子抜けしたような声を出した相手に、笑顔を我慢せずに言ってやる。
「火縄見てたら、羨ましくなっちゃって」
じわじわと綻んだ口許で、どんな人が好き?、と聞かれて、灯城はにんまりと笑ってしまった。