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    rinkokonoe

    @rinkokonoe

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    rinkokonoe

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    金曜日になるとカレーが食べたくなる塚橋のお話。
    安定の短さです。
    現パロです。
    いつも通りご飯食べてるだけのお話

    金曜日はカレーが食べたい金曜日になると、無性にカレーが食べたくなる
    何故なのかはよくわからないが、二人とも揃ってカレーが食べたいと思ってしまうのだ
    そんな事がお互いわかってからは、週替わりでカレーを作り合う事が通例になっていた

    「和さん、今週は一緒に作りませんか」
    「ああ、いいな普段は別々に作っているからな」
    じゃあ来週の金曜日は一緒に作りましょうね、そう言って太郎が嬉しそうに笑う
    スーパーに一緒に買い物にでかける約束もした
    早く来週にならないか、楽しみだ

    金曜日、お互い早く仕事を切り上げてから駅前で待ち合わせをした
    まだ暑さが残る駅前で待っていると、走ってくる人影が見えた
    「お待たせしました」
    「時間通りだ、よし行こう」
    くい、と太郎の袖を引っ張る
    歩いて少しすると昔ながらの商店街が待ち構えている
    まずは肉だ
    牛と豚、どっちがいいか
    「「牛肉」」
    お互いの言葉が被る、同じ物を選んでいる事が面白くて笑い合ってしまう
    「牛ロースを、300g」
    せっかくなので少し高めの物を購入する
    太郎がエコバッグを取り出してそこに詰めてもらっている
    「美味しそうな所が買えましたね」
    「うん、これなら柔らかいのができそうだな」
    ふふ、と笑って次の店に向かう
    安くて質がいい八百屋に着く、遅い時間だから基本的なカレーの材料を吟味して購入する
    買い物を終えたら、あとは家に帰るだけだ
    重くなったエコバッグを片方ずつ持って歩いてゆく
    幸せの重みとはこの事なのだろうか

    帰宅してから手洗いとうがいを済ませてエプロンをつける
    買ってきた牛肉をおまけでつけてもらった牛脂で炒めてゆく
    隣で太郎がてきぱきと人参とじゃがいもの皮を剥いてから、水にさらしている
    「いい匂いですねぇ」
    もうすでに玉ねぎの皮を剥き終わった太郎は薄く切りはじめている
    肉を一旦皿に取り出すと、太郎が今度は鍋の前に立つ
    玉ねぎを入れてじっくりと炒める、時間はかかるが飴色になるまで炒めるのが最近のお気に入りのようだ
    その間にまな板包丁を洗っておく
    「和さん、じゃがいも入れてください」
    水気を切ったじゃがいもを鍋にゆっくりと入れる、じゅわという音が聞こえる
    じゅうじゅうと炒められてゆく野菜達のいい匂いがする
    頃合いを見て人参も入れてやると、額に汗が光っているのが見えた
    ポケットからハンカチを取り出すと拭いてやる
    「大変な所をすまないな」
    「良いんです、俺野菜炒めるの好きなんですよ」
    ふふ、と笑った太郎は水を入れましょうと言ってきた
    野菜が浸かるくらい水を入れてから、牛肉も皿から鍋に移し替える
    一つだけコンソメを入れると蓋をして煮えるのを待つだけだ

    「暑いだろう、麦茶を」
    「ありがとうございます」
    台所でしばしの休憩だ
    「今日は隠し味、何入れましょうか」
    「そうだな、珈琲牛乳はどうだ?」
    この間買っておいた物が冷蔵庫に入っているんだ、と言いながら冷蔵庫を漁る
    小さめの筒に入ったそれが置かれる、甘くて美味しいから和さんが好んで買っている物だ
    好物を入れたがる和さんが愛おしい、抱きしめたくなってしまうが、まだ後でのお楽しみに取っておこう
    蓋を取って灰汁を丁寧に掬ってゆく
    これをしないと後の味が全く違ったものになってくるように思う
    竹串でじゃがいもと人参に串を刺すと、すっと通るようになった
    「隠し味だな」
    ストローから焦茶色の液体が鍋の中に注ぎ込まれる
    甘い香りがふんわりと広がって、腹が音を立てた
    「もう少しだぞ、頑張れ」
    こくりと頷くともう少しだけ煮詰める
    火を止めたら中辛のルウと辛口のルウを半々で投入する
    くるくるとかき混ぜて、とろみがついたら完成だ
    「どうですかね、味」
    小皿に少し盛った物を和さんに手渡す
    ふうふう、と冷ましてから味見をした和さんは美味いと言ってくれた
    「付け合わせ、どうしましょうか」
    「キャベツは刻んでおいた、あとはプチトマトと…らっきょうと福神漬にしようか」
    わかりました、と言って炊き立ての米を銀色の皿に多めに盛り付けるカレーをその上にかけると、和さんがサイドにキャベツとプチトマトを飾ってくれた
    らっきょうと福神漬は別に分けておく
    飲み物は牛乳だ、隠し味を入れたがやはり辛いので牛乳を添えるのがいつもの事になっている
    「美味しそうですねぇ」
    「久しぶりに一緒に作ったな」
    乾杯、と言って牛乳で喉を潤してからカレーにスプーンを入れる
    よく煮込んだおかげで全体的にほろほろとしていて口当たりが良い
    鼻に抜けるスパイスの香りと後に、少しだけ甘い香りもする
    「和さんの隠し味、いいですねぇ」
    「太郎の林檎と蜂蜜を入れたやつも好きだぞ」
    うんと甘くて、とろけるようでと言っている和さんの表情も蕩けているように感じる
    「和さん、食べ終わったら」
    「一緒に風呂でも入るか」
    嬉しくなって食べるスピードが上がってしまう
    「おかわりして、ゆっくり食べてゆっくりお風呂に入って」
    それから
    布団に行こう、とあの表情で和さんがこちらを見つめてくる
    もちろんです、と言ってカレーを俺はよそいにいった
    ついでに風呂のスイッチも入れて
    ああ、まだ夜がふけるまで時間がある
    辛い舌を甘くしたいな、なんて考えながら俺は炊飯器の蓋を開けた
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