日記の続き〇月〇日
よくハイエナパイセンの肩とか頭の上にいる丸っこい何かに、口があることを今日知った。
むかし妖怪図鑑で見たべとべとさん?だっけ?によく似た白くて丸くて足だけがあるそいつは、ふと気が付くと人間と全く同じ歯並びの口をぱかりと大きく開けて何かをあぐあぐしてた。
特にこちらから何かをしなければ全くこっちに意識を向けてこないから無視してたけど、あぐあぐするたびに大きくなってることに気づいたからちょっと注意しようと思う。
〇月●日
あの白くて丸い何かがとうとう子猫サイズから親猫サイズになってたのでちょっとちゃんと観察してみたんだけど、なんというか、いわゆる悪いもの、を食べてる感じ?
ハイエナパイセンはその出身とか立場とかでいろいろ抱えてるみたいだから、守ってくれるならいいかなって思いはするんだけど、どうにもいいものって感じもしないから気になるんだよなぁ。
〇月×日
白くて丸い何かがハイエナパイセンに向けて放たれた火の玉をバックリと食べちゃった。
その瞬間、猫サイズだった白いのは一気に中型犬サイズに。
しかもものすごく怒ってた気がする。ヤバいよね?
魔法を放った奴は自業自得だと思うけど、ほかの無関係な人に被害が出ないようにちょっとおまじないを増やした。
想定外のお仕事増加でへとへとだよ。
〇月△日
ハイエナパイセンと食堂で同席することになったので、それとなく話を振ったら、面白い話がきけた。
なんでも、ハイエナパイセンの故郷のスラムには、スラムを守ってくれる守り神様がいらっしゃるらしい。
姿を見たものはだれもいないけど、悪いことがおきそうになるとどこからか力を貸してくれるんだって。
でもその幸運に預かった人がスラムから出ていって成功したりした後、スラムを忘れようとしたりないがしろにしたりすると、その時の対価だとでもいうように丸ごとその成果を取り上げられちゃうんだとか。
だからスラムを出ていっても大体の元住人たちはみんな自分のできる範囲でスラムにちょっとだけ援助をすることになってる、と。
なるほどねぇ、って思った。
〇月▲日
数日前ハイエナパイセンに魔法を放ったあの先輩が白いのを連れて歩いてるのを見た。
いやなんと驚きの大型犬……いやもうあれは小型の熊サイズ? いやマジででかくてびっくりしたんだけども!
バクバクあぐあぐ物凄い勢いで何かを食べてて、くっつかれてる先輩はなんか物凄く顔色が悪いしふらふらしてるしで、いやあれは本気でまずいよな、と思ってその先輩にはかかわらないようにマブ連中に通達を出した。
や、だってハーツの人だったし。パーティで見たことあるよ。
〇月◇日
実践魔法の授業中、魔法魔法を暴発させた人が出たんだって。
顔が焼けただれてひどいことになったと聞いた。
魔法ってなんだかんだで怖いもんなんだなぁって思った。
……ハーツの人だったってさ。
〇月◆日
ハイエナパイセンの肩に、こぶしサイズ白いのがのっかって足をパタパタさせてた。
何かライオンの寮長がそばに寄ったらぴょんって肩に飛び乗ってなんかくるくる踊ってて、そしたらあってまに親指姫サイズになっちゃった。
もしかしなくても何かしてくれたんだろうな。
まさかと思うけど、スラムメンツとして認定されてない?
その人、王子様ですよー。
〇月□日
今日も白いのはハイエナパイセンと一緒にいる。
私を確認するとすっといなくなっちゃうようになったけど、嫌われてるんじゃないといいな。
あ、グリムは嫌いじゃないみたいでこの間尻尾にしがみついて……いや違うな、あれ食いついてたな。大丈夫だったのかな。
パイセンに何かやらかしたんだったら白状させて謝りに行かせよう……。