お気に召すままに カランコロンとグラスの中の氷を揺らして一気に煽る。ロックグラスに満たされたウイスキーの味が広がり、アルコールが体内に染み渡る。度数は高いが酔うほどではない。
キョロキョロと物珍しげに辺りを見回す高杉は森の服の袖を掴んだまま所在なさげに佇んでいる。
何か飲むかと聞いても首を振るばかりで、目をキュッと細めて黙っている。いつもは騒がしいくせに今は借りてきた猫のように大人しい。
来たいと言ったのはお前だろうに。
ジッと固まって動かない高杉にどうしたものかと考える。ぼんやりとしている間に寄越される誘いをやんわりと躱す。躱しても躱しても繰り返される誘いにうんざりする。高杉と付き合う前ならば適当に乗っていたが、今は可愛い恋人が隣にいるので。いなくとも高杉以外と情を交わす気はないが。
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