保健室(ホテルの)で色々しよう!〜準備編〜イメージプレイは『イメージ』に合った衣装もだが、なにより『イメージ』と合った演技も、イメージプレイを主とするアダルトビデオでは重要なものだ。
(もちろんアダルト要素も大変重要であり、『イメージ』に合った『プレイ』の内容もしっかり満たしていなければイメージプレイとは言えない)
そんな話をしたのが数日前のことだった。
「つまり巨乳大作戦は、『巨乳』であることも重要だけど、それだけじゃなく『大作戦』としての『イメージ』に合う衣装と演技力とエッチな部分の内容が俺らを掴んでいると。」
斑目貘は悪魔だ女狐だなんだ言われるが、男であることに変わりはない。
そのため、性欲だって普通にあるしアダルトビデオだって借りる。あと、好きな子のエッチな姿には大変興奮する。そんな普通の一面も普通にあるのだ。
だからこそ男同士で、ましてや大変興奮するエッチな姿(本人は無自覚のパターンが多い)を見せてくれる、仲間兼恋人なりたて一週間経過済みの梶隆臣が熱く語るのに「ふむふむ」と納得する。
確かにあんな風に梶から誘惑されたら、すぐに堕ちてしまいそうだ。…まぁ、誘惑されて堕とされたら堕とし返すだけのことではあるが。
「世の中には他にもたくさんのAVがあるのに、なんでか僕らは巨乳大作戦に惹かれた…それでふと考えてみたんですよ!理由を!」
キラキラと目を輝かせながら、気に入っているアダルトビデオについて語る。
そんな梶は気づいているのだろうか?
しっかりと返答をする裏で、斑目が密かにある計画を考えていることについてを。
「なんかそういうの考える時ってさ、頭使わないからいいよね。でも確かにあの作品って結構マイナー作品だったのに、俺ら二人とも今でもメジャー作品としてシリーズ化されてからも追い続けるぐらいだし。梶ちゃんの言う『イメージ』がかなりしっかりしてるよね。ところで梶ちゃんは新作もう見た?」
「見ましたよ!あれはまさかの内容でしたし、個人的にかなり期待してたんすよね〜!『怪しい保険医をJK探偵が脅威の巨乳で誘惑大作戦!?』って設定盛りすぎ内容濃ゆすぎなのに…」
「だよね!?『JK』ってので生徒会長が〜とか風紀委員が〜とかじゃなくて、あえて『探偵』にすることで『大作戦』の醍醐味である『誘惑』をしやすい状況を作り…」
「そうそう!『イメージ』と『プレイ』を満たすと!かなりの荒技感あったけど、今回も良くて!!」
声が大きくなるほど熱く語る梶を見て色々考えながら、ようやく大まかな計画が立てれてきた。けれどもあと一つ、なにかが足りない。
「でもさ、『怪しい保険医』はやっぱり無茶だよね。教師とかあったじゃんって諸々シてから思っちゃったんだけど。」
「そこはあれですよ。教師ではなく『保険医』という『生徒』の身体を癒す存在を『怪しい』と付けることで合法的に誘惑するという『大作戦』に見合った『イメージ』を。」
「うん。」
今一瞬なにか足りないピースが埋まりかけた気がしたが、気のせいかと思いながら会話の続きを促す。
「そして『JK』という若さと背徳感のある存在に治癒という神聖な行為を行う『保険医』を誘惑して『プレイ』にさらなる背徳感を増させている…というのなんじゃないかと!」
ピタッと足りないピースがきっちりはっきり埋まった。明かりが灯っていて、全体がくっきりと見えるぐらいには計画が完成された。…それにしてもまさかこんなときまでと思いながら斑目はよく梶に対して言う言葉を放った。
「梶ちゃんやっぱキモ冴えてるね!」
「えっ。」
さて、そして計画を立てた斑目は当日まで入念に準備をした。最初は困惑されるかもしれないが、今回大事なのは『イメージ』をあえて中途半端に自分だけすることで、恋人がどんな反応を見せるかを見るという目的にある。
(ちなみに『プレイ』の内容についてはそのときに考える予定で、することは流れを把握した上で臨機応変に対応していきたいからである)
そして迎える当日。
事前にシたいとは伝えていたため、そこに関してはお互い身体と心の準備やらなんやらは出来ている。
「梶ちゃん。入っていい?」
こちらよりも身体の負担が大きく、準備に時間がかかる梶のいるベッドルームの扉の前で声をかける。
「は、はい。どうぞ。」
何回かしていても、まだあどけなさの残る声に初々しい反応にニヤつきそうになりながら扉を開く。梶はどんな反応を見せてくれるのか。
「『じゃあ梶くんの状態、見ていきますからね』」
「『ご、ごめんなさい。生徒じゃないのにこんな…』」
「「え?」」
今日、二人はラブホテルにいた。そのラブホテルの部屋はちょっと特殊…というかまぁイメージプレイ用の部屋であった。
ベッドルームの横の扉のスペースには、通常のベッドルームのふかふかのベッドとは違い、白い安っぽそうなベッドと聴診器などの器具が置かれた机のあるイメージプレイ用のベッドルームがある。
斑目は細心の注意を払いながら梶を案内してしたつもりだったし、イメージプレイ用のベッドルームの存在がバレないように部屋を見張ってもいたのだが。
「かっ、梶ちゃん?なんで分かったの?」
「ば、貘さんこそ!何も言わないなんてずるいっすよ!」
「ズルい…?俺ズルいことした…?」
「イメージプレイしたいなら言ってくれれば…だから即興で考えて演じてみたのに…」
二人の間の空気が静かなものになる。
部屋に入るまでの空気はどこへやら。斑目も梶も黙ってしまう。
が、ラブホテルには制限時間がある。こんな気まずまい空気のまま時間が過ぎて、ヤることヤらないまま帰るなんていくらなんでも嫌すぎる。複雑な気持ちながらもこの空気をなんとかするために口を開く。
「ちなみにだけど…本当になんで分かったの?」
「なんかやけにこの間『保険医』の話に食いついてたなーって思い出したのと、このホテルのアメニティについてサッと調べたときにイメージプレイ用の部屋があるって出てきたから…。」
「このラブホ、イメプレ向けの部屋があるの推してたけどさぁ。でも保健室っぽいのの情報はかなり下にあったはず…。」
「アメニティの情報は下にある別ページからでだったんで…。」
詰めが甘かったかと思いながら、アメニティ気にするタイプなんだ…と梶に対する認識を改める。あとそんなに自分は『保険医』に食いついていたかと疑問に思っていると、今度は梶が口を開いた。
「気になったんですけど、どういったイメージプレイを想定してたんすか?」
「あー、いや。俺だけしっかり『イメージ』に合わせて衣装とか演技したら、梶ちゃんどんな反応するかが目的で…。」
「何してんですか貘さん…。」
「だって梶ちゃんの反応、恋人なんだからいっぱい見たことないのは見たいに決まってるじゃん…。」
梶が呆然とする。変わった反応は見れたが、こうではない。こうではヤる気が失せてしまう。(今実際二人ともヤる気を失いかけているのが証拠だ)
「僕も…いや、俺もイメージプレイしたいです!!」
「そう来るの!?でも今からどういうのを想定したイメージプレイをしたいの梶ちゃん!?」
「あ、じゃあ打ち合わせしましょう。」
「打ち合わせ、打ち合わせねぇ。」
なんだか空気がそれっぽい感じに戻りつつある中、梶の提案に斑目は素直に頷く。
「まず僕は…」
「よし梶ちゃん。人妻でいこう。」
「…早くないですか?」
とはいうものの斑目的にはもう我慢の限界だった。
イメージプレイをするなら確かに打ち合わせも大事だ。が、限られた時間の中で以前あんなにもイメージプレイについて語っていた梶を思い出すと、ヤることをヤれずにタイムアップしそうな気がしてしまった。
だからこそ、頭をフル回転させて今の梶の格好的にも出来るイメージプレイで一番良いのは人妻だと瞬時に答えを導き出したのだ。
「…他になんかある?人妻以外のエッチな奴って。」
梶はいつもと違う格好の斑目に迫られ、少しドキドキしながら頭の片隅で梶はだんだんと悩ましくなっていた。