ほのぼのクヌリンある日のことだ。
本当に、なんでもない日のことだ。
「あっ! リンクさーん!リンクさんじゃないっスかっ!?」
オイラは勇者様をお見かけした。
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オイラはクヌギダ。
エノキダ工務店に所属する、一工員だ。
オイラはこう見えて意外と忙しい男である。
昔から旅慣れしていることもあって、大工の手が足りていないところに適宜派遣されたりするからだ。
あっちこっちとせわしない毎日ではあるが、趣味の温泉巡りも相まって旅好きなオイラは、さほど苦に感じない。
この日も、次の現場へと向かう最中だった。
「お? 硫黄の匂い」
立ち止まり、目の前の森へと匂いを頼りに進む。
すると程なくして目当てのモノを見つけた。
「やっぱり、温泉っスね」
そこにはオイラが愛してやまない湯の泉があった。
1870