二度目となる教員採用試験も無事に終わり、あっという間に二月がやってきた。大成が『コンビニ塾』と称して頻繁に利用しているコンビニエンスストア「ハロゲン」のイートインスペースの内装も、節分を過ぎすっかりバレンタインデーを意識させるものに様変わりしている。
「あの、大成先生。ちょっと相談したいことがあるんですけど……」
季節の移ろいを早く感じるようになったのは、ハタチを過ぎた頃からだろうか……そんなことを考えながらまったりと好物であるチョコミントアイスを食べていた大成に、ただ一人の塾生である美奈子がおずおずと口火を切る。
これまで勉強が終わった後にくだらない話をすることはままあったが、彼女がそんなことを言い出すのは初めてのことだった。……しかも、こんな思い詰めたような表情で。
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