祖父の葬式のために田舎に帰ると、そこで、仏間の棺に腰掛ける男を見た。
母にそのことを伝えると、「おじいちゃんがきてくれたのね」と言った。
私は違うと思った。
男はこちらを見て、「よう坊主、河童でも見に行くか」と言った。
私がうなずくと、どこからか「孫をたぶらかすのはやめろ」という声がした。
それは祖父の声だった。
あとはふたりの男の笑い声だけが残ったが、今思えばただの蝉時雨だった気がする。
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