【飯P】雨音の下、マントの内 枯れ果てているように見える冬野にも、目を凝らせば水仙や冬わらびの緑が点在している。一度目につけば、周りが寂しい枯野であるが故に、より一層その生命力でもって視線を引き付ける。
久々の手合わせの合間、僕とピッコロさんは大きく抉れた岩壁の内に腰掛けていた。休憩といっても、北風に嬲られては余計に体力を奪われるばかりだ。ここにいれば他より少しは風を避けられる。厚い雲に覆われた空は重苦しい灰色で、冬の割に空気も湿っていた。
「お前、少し腕が落ちたんじゃないか」
ピッコロさんが侮るように言うので、僕はむっとする。確かに、ハイスクールへの入学を控え、以前ほど鍛練に打ち込めていない……とはいえ、今の手合わせでは特段押されてもいなかったはずだ。
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