【飯P】真夜中に目覚めた時は 窓から覗く冬の三日月は、刃のように鋭かった。されども部屋の中は暖炉にあたためられ、燭台の灯りも手伝いほの明るい。
ピッコロはベッドに掛け、サイドテーブルの隅にある小さなぬいぐるみを、見るともなしに眺めていた。
「これ、まだ持ってくれてるんですね」
悟飯はテーブルへ歩み寄り、ぬいぐるみを片手に持ち上げた。ピッコロはきまり悪そうに目を逸らし、捨てる理由がなかっただけだ、と呟く。手の中にあるぬいぐるみと、そのようなものに興味はないとでもいうように窓の外に目を遣ったピッコロとを見比べ、悟飯は声に出して笑った。
「ずーっとそんな風に言ってますよ。もう何年も」
「そんなことはない」
ピッコロの返答は実に素っ気ない。だが、悟飯が握っていたぬいぐるみを取り上げて、テーブルの隅ではなく自分の膝の上へ転がした。
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