ひょんなことから「天涅」姓になる薫くん薫くんのおばあちゃんが亡くなって親戚の人たちにお世話になる話になった時、たまたま話を聞いた耀司さんが「うちで預かりますよ」から始まる2人暮らしの話はみたいです
「養子縁組でもなんでも。それに薫も嫌みたいですし」
「……!」
「俺は」
「耀司さんは誠実で、嘘をつかないから。何度も助けられました。……その恩を返したいと心の底から思える人です。」
「耀司さんが承諾してくれるなら、喜んで提案を受けますよ」
「……だそうですが」
「……好きにしいや」
「有難うございます」
「…あの」
「ん?」
「よかったんですか、あんな申し出をして…迷惑、じゃ」
「些細なことだよ」
「薫、もしあの人たちについて行ったとして、幸福な時間を過ごせるか?」
「……憶測だが、過ごせないだろう。第一、薫は嫌そうな素振りを見せていた。家族と反りが合わない中成人までの長い間過ごすのは、…………きっと、なかなかに堪えるよ」
「……さて」
「これから役所に行って申請をするようなんだけど、予定はある?」
「ないです。そのまま行って大丈夫です」
「よし。じゃあ行こうか」
「養子縁組について、説明しておこうか」
「養子縁組になるにあたって、お前は宇埜ではなくなる。これは養親の氏を称することが定められているからだ」
「……ということは、宇埜から天涅になるってことですか」
「そうだ。……あのいけ好かない死霊術の長とかいうやつに一杯食わせてやる絶好の機会だな」
「……!」
「……つ、疲れた……」
「お疲れさま」
「今日から俺とお前は家族になる。……が、何も変わらない。今まで通り、事務所に来て、死霊を祓って、語らって………。何も心配することはない」
「これからもよろしく」
「はい……!」